国土交通省は2日、「不動産鑑定評価基準等の改正」について発表した。
同改正は、2006年8月からスタートした国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会(部会長:緒方瑞穂氏=(株)緒方不動産鑑定事務所代表取締役)による検討結果を踏まえたもの。投資不動産に関する鑑定評価について、実務等の現状と課題を検証するとともに、不動産証券化の進展に伴う投資家保護の必要性の高まり等を踏まえた不動産鑑定評価基準の運用のあり方をめざした。
今改正では、不動産鑑定評価基準に、新たに証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価について定めた「各論第3章」を新設した。同章では、証券化対象不動産の定義、同不動産を鑑定評価する場合の適用範囲、鑑定評価にとって重要な資料となる「エンジニアリング・レポート」についての不動産鑑定士の主体的な活用、DCF法の適用過程の明確化、収益費用項目の統一化などが盛り込まれている。
具体的には、証券化対象不動産の収益価格算定に当たってはDCF法を適用しなければならないとし、「この場合、併せて直接還元法の適用により検証することが適切である」とした。また、DCF法で査定した収益価格(直接還元法による検証含む)と、原価法や取引事例比較法などで求めた試算価格との関連を明確にしつつ、評価額を決定した理由を評価書に記載しなければならない、とした。
同省では、(社)日本不動産鑑定協会による研修などを通じ、関係方面への周知徹底を図り、7月1日に改正不動産鑑定評価基準等の施行を行なう。同時に、証券化対象不動産の鑑定評価に係るモニタリングも実施するほか、年1回程度の不動産鑑定評価基準のフォローアップを行ない、必要に応じて適宜見直しをしていく方針。