三井不動産(株)は9日、三井不動産グループ長期経営計画「新チャレンジ・プラン2016」を策定、記者会見を行なった。
「新チャレンジ・プラン2016」は、「チャレンジ・プラン2008」の目標であった、利益成長と財務基盤の強化が前倒しで実現できたことを踏まえ、2007年度をスタートとする新たなグループ長期経営計画として策定されたもの。
具体的には、2007年度~2011年度をステージⅠとして、計画の方向性を定め、成長戦略の実現をめざす。コアビジネスをいっそう強化し、将来の成長分野を育成させる。
また、ステージⅡとなる2012年度~2016年度は、コアビジネスのさらなる成長を図るとともに、育成した事業分野を大きな柱として、グローバルな展開を本格化させる。顧客志向の経営、ビジネスモデルの革新、グループ経営の進化を柱に、持続的な利益成長をめざしていく。
コアビジネスの成長戦略として、保有事業では競争力と収益力の高いオフィスビル・商業施設などの新規稼動を進め、アセット収益力を強化。東京などの安定市場への重点投資と並行して、地方・海外などへのエリア分散を図る。
開発事業においては、住宅分譲事業で競争力に優れる大規模開発事業の推進と、年間7,000戸を供給する体制の早期達成をめざすとともに、小家族・高齢者向け・リゾートなど、商品・サービスのバリエーションを拡充する。投資家向け分譲事業では、施設バリエーション事業手法を広げて、事業機会の拡大を図る。
マネジメント事業では、JREITとプラーベートファンドのさらなる成長に貢献し、預かり資産の拡大を進め、「不動産投資市場のNo.1カンパニー」として成長を加速させる。また、サブリース事業やデベロップメントマネジメント事業、リニューアルやコンバージョンなどの資産再生に向けたマネジメント事業などを、都心・地方含めて強化する。
都市再生事業では、コアビジネスを組み合わせて、日本橋、日比谷、豊洲、柏の葉キャンパスシティなどで魅力あふれる複合的なまちづくりを積極的に進めていく。また、関西、名古屋、札幌などでも取組みを強化するほか、地方中核都市でも都市再生・地域再生を推進していく。
また、経営基盤強化と企業価値向上の施策としてはROEを中心にROAなども勘案した経営管理を行なうほか、コーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスと内部統制の徹底、CSRの実践などを掲げた。
10年後の同社グループの姿については、社会・経済の構造変化を捉え、ビジネスモデルを革新して持続的な成長をめざすとした。また、グローバルなマーケットでも不動産ソリューション・パートナーへ進化し、魅力あふれるまちづくりを通じて、社会の発展と顧客の豊かな暮らしを実現していくとした。なお、3年後(09年度)に営業利益2,200億円をめざす。
会見の中で、同社代表取締役社長の岩沙弘道氏は「『チャレンジ・プラン2008』は、2年前倒しで達成することができた。今回も、緊張感と透明性を保ちながら、よりスピード感を持っていち早く達成させたい。都市・地域再生も、ビジョンを持ち、先頭に立って取り組んでいく」と展望を語った。