(社)不動産流通経営協会(FRK)は20日、「90年以降の米国における既存住宅流通量拡大に関する調査研究報告書」を発表した。
1990年当時年間約300万戸だった流通量が、2005年には700万戸と倍増した米国の既存住宅流通市場について、その要因を分析。流通量拡大をめざしている日本の既存住宅流通市場への各種政策に反映させるのが狙い。
報告書では、米国既存住宅流通市場拡大のステップを1990年代前半と、90年代後半~2000年代とに分け分析した。90年代前半は、低取得者等に対する政策的な持家取得支援、多種多様な住宅ローンの展開、安定的な低金利などの要因により、一次取得者が市場を牽引したと分析。一方、90年代後半からは、経済の安定と「住宅売却に係るキャピタルゲイン非課税制度」の改訂(利用回数、購入住宅価格等の条件撤廃)などにより、投資、バケーション向けのセカンドハウス需要が市場を牽引したと分析している。
また、これら米国市場を考察したうえで、日本の流通市場拡大に効果的な施策として(1)「住宅ローン利子控除制度」の創設、(2)「キャピタルゲイン非課税制度」の創設、(3)「金融政策、住宅ローンの枠組み」見直し、をあげた。(1)については、恒久的な補助による機会の公平性や計画的な借入の促進、セカンドハウスへの適用による多様な居住ニーズへの対応などのメリットを指摘。(2)については、住宅ローン控除制度等ローン関連制度との併用を可能にすることによる買い替え需要の喚起、(3)は住宅金融支援機構による証券化支援業務の拡充など、新築・既存を問わない金融市場の熟成化を指摘している。