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「2008年 年頭挨拶」(業界団体)

(社)全国宅地建物取引業協会連合会・(社)全国宅地建物取引業保証協会 会長 藤田 和夫 氏
(社)不動産流通経営協会 理事長 岩崎芳史 氏
(財)日本賃貸住宅管理協会 会長 亀山 征夫 氏
(社)不動産証券化協会 理事長 岩沙弘道 氏 (順不同)

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会
 (社)全国宅地建物取引業保証協会 会長 藤田 和夫 氏

“剛毅果敢”にオピニオンリーダーの役割を
業界最大団体として、国民本位の政策実現を目指す

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 わが国経済は、「いざなぎ景気」を超える好況にあり、地価の全国平均は2年連続して上昇するなど、喜ばしい状況ではあります。一方、格差社会の深刻化、地価の二極化、インターネット技術の発展、改正建築基準法施行による住宅着工の大幅減少等、不動産業界を取り巻く環境は先行き不透明な状況であります。
 このような中、本会では昨年の郵政民営化に伴う不動産業参入問題について要望活動の結果、全国2万5,000の郵便局の窓口では宅建業を行えないとの成果をあげることができました。さらに、税制改正については大変厳しい財政状況のもと、土地売買に係る登録免許税の軽減税率、新築住宅の固定資産税の減額措置、住宅取得に係る相続時精算課税制度の特例などの従来からの各種特例措置の適用期限の延長が図られたほか、福田首相の重点政策である「200年住宅」構想を支援する税制が新たに創設されました。このように土地住宅税制について充分な成果を勝ち取ることができましたのは、みなさま方のご協力の賜物であり、感謝申し上げる次第です。
 また、「全宅住宅ローン株式会社」は、おかげさまで昨年末に、融資実行件数が3,000件超となり、300を越える取扱金融機関中第5位にまで成長に遂げました。今後ともみなさま方のご支援とさらなるご利用を期待する次第です。
 さて、新しい潮流の不動産流通環境に対応するため、本会では昨年、インターネットオークション取引について研究を進め、公認規準を策定しました。昨年末の規制改革会議においても「担保不動産競売への民間参入」が答申されるなど、公的資産処分も含めて、われわれ宅建業者が幅広く参画できる仕組みを構築したいと考えております。
 また、公益法人改革に対しては、宅建協会、全宅連、全宅保証一丸となり11万会員の組織力を活かして、適切に対応していく所存です。
 本会は不動産業界最大の団体であり、不動産・住宅産業団体の中でも最も影響力のある団体としてオピニオンリーダーの役割を果たしていくとともに、国民本位の政策実現を目指していく所存であります。
 終わりに、会員のみなさま方のますますのご繁栄とご健勝をご祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。


■(社)不動産流通経営協会 理事長 岩崎芳史 氏

不動産流通活性化へ向け、新たな情報インフラの活用と積極的な政策提言を

年頭にあたって謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様には、佳き年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 さて、昨年を振り返りますと、わが国の経済は、輸出の増加、企業収益の改善、企業の設備投資の増加により緩やかな景気回復基調が続きましたが、サブプライム問題に端を発する金融資本市場への影響、米国経済の減速見通しや原油価格の高騰等により、景気の先行きに対する懸念材料が出てまいりました。
 不動産市場は、首都圏を中心とした都心回帰の動き、旺盛なマンション需要不動産投資の拡大により活発な動きを見せ、地価も全国で16年ぶりに上昇となり、都心部では高い上昇率を示す地点も出てきました。しかしながら、下期に入りますと個人所得の回復の遅れ、金融資本市場の変化などにより、従来の状況に比べやや息切れした感じとなりました。また、改正建築基準法の施行による新規着工戸数の急激な減少も見られました。
 このような経済環境のもと、昨年末発表された税制改正大綱におきまして、当協会の重点要望事項でありました「不動産流通諸税の特例措置延長」等について期限の延長が図られたことは、課税強化に伴う不動産流通市場に与える影響について一定の配慮がされたものであります。また、「長期耐用住宅促進税制」の創設は、良質な住宅の形成に寄与し、今後の住宅流通市場に好影響を与えるものと期待されます。
 不動産流通市場の円滑化、活性化に向けた政策面では、昨年5月に、自民党の住宅土地調査会から「住生活基本法」の基本理念であるストック型社会における豊かな住生活の実現にむけた「200年住宅ビジョン」の提言がなされました。現在、国土交通省において、「長期耐用住宅整備促進法(仮称)」の法案提出の準備が進められており、これに関連して「住宅履歴書」の整備を始め長期にわたり住宅が維持され流通するに際しての課題が幅広く検討されております。本年は、その具体化に向けての政策が、不動産流通業界にとって流通市場の整備・拡大につながる影響の大きい課題であるとの認識のもと、昨年末当協会内に設置した「流通促進研究会」において、既存住宅流通市場の活性化に向けた具体的な提言を取りまとめてまいりたいと考えております。
 また、本年は、新たな不動産情報インフラが始動する年であります。
 当協会のインターネットによる消費者への不動産物件情報の提供サイト「ホームナビ」については、業界を代表する不動産物件情報サイトとすべく、IT化の進展を踏まえ次期システムの開発を進めておりますが、消費者に物件探しの利便性と取引の安全性を提供するサイトとして新たにスタートいたします。さらに、全国4機構による集約データベースを含む東日本不動産流通機構の次期レインズシステムの開発も進んでまいります。これらの新たな不動産情報インフラを皆様が最大限活用されることにより、これからの不動産流通の活性化に大きく貢献するものと期待しております。
 近年は、不動産の金融商品化など取引の高度化、耐震偽装問題に端を発した建物の耐震性への消費者意識の高まり、消費生活用品安全法の改正や犯罪収益移転防止法の施行等社会的要請への対応など、不動産流通業界は多くの課題を抱えております。本年は、これらの課題に的確に対応しつつ、会員相互の結束のもと、不動産流通の促進と不動産流通業の発展に寄与してまいりたいと存じます。皆様方のご理解、ご協力のほど、引き続きよろしくお願いいたします。
 最後に会員の皆様のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。


■(財)日本賃貸住宅管理協会 会長 亀山征夫 氏

 明けましておめでとうございます。
 賃貸住宅市場において、入居者に快適・安全な住生活を安定的に提供し、家主の健全な賃貸経営をサポートするためには、高度な知識と高い倫理観を持った賃貸住宅管理の専門家が不可欠です。当協会は昨年、(社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)全日本不動産協会、(社)日本住宅建設産業協会と共に賃貸不動産経営管理士制度を立ち上げ、今年は1万3千名を超える資格者が誕生します。資格者各々が自己規律に基づき、誠実公正に職務を遂行することで、賃貸管理業務の社会的信用が確立されると思われます。
 当協会は本年も、賃貸住宅市場の健全な発展を目指し、賃貸住宅管理を通じ豊かな国民生活の実現を図ってまいります。本年も皆様方のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


■(社)不動産証券化協会 理事長 岩沙弘道 氏

 本格的なグローバル不動産投資市場への幕開け

 皆様、新年あけましておめでとうございます。
 わが国経済は、好調な企業収益と堅調な設備投資に支えられ、緩やかながらも安定的な成長軌道を維持しております。
 しかしながら、新しい年を迎える今、サブプライムローン問題はその影響の深刻さを徐々に明らかにしつつあり、それに伴うグローバルな金融資本市場の動揺や米国経済の減速懸念、さらには原油等資源価格の高騰によるインフレ懸念も高まるなか、日本経済の成長を支えてきた世界的好況の波も潮目を迎えつつあると感じます。
 一方、国内では、国会のねじれ現象のもと国政に停滞感が生じ、改革の後退懸念も高まっています。このような状況が続けば、わが国はグローバルな金融資本市場からの信頼を失い、世界経済の不確実性の増大とあいまって、経済の活力を失う要因ともなりかねません。与野党ともに必要な政策について十分に協議し、経済の持続的成長、国の将来を見据えた政治を行なっていただきたいと思います。
 日本経済が、グローバル化に対応した成長力を築きあげていくためには、世界中から高度な人材や情報、積極的な投資を集めるべく、国際競争力に溢れた、オープンで魅力ある日本をつくっていくことが大切です。そのためには、不動産投資市場のさらなる健全な発展を通じて、グローバルな投資を呼び込み、大都市のみならず、地方の中核となる都市も含めて、日本全体の都市の国際競争力を高めていく視点を欠かしてはなりません。
 不動産投資はますますクロスボーダー化が進んでおり、欧米の年金基金や豪州のLPTによる日本への投資が拡大していることや、ファンド・オブ・ファンズなどを通じた日本からの海外投資が拡大していることなど、グローバリゼーションの流れの中で不動産市場、不動産投資市場を捉える必要性が高まっております。
 Jリート市場においても、国際化・多様化を目指し、当協会として各方面に海外不動産の組入れ実現に向けた働きかけを行なってきましたが、先日、金融庁の「金融・資本市場競争力強化プラン」に盛り込まれ、本年の早い時期にもその実現が期待されるところです。
 また本年9月には、アメリカ、オーストラリア、イギリス、日本など7ヵ国の業界団体からなる国際組織である、REESAの代表者会議を東京で開催します。あわせて、国内外の幅広い機関投資家の方々にお集まりいただいて、国際的な不動産投資フォーラムの開催を予定しています。
 まさに本年は、日本の不動産投資市場が本格的なグローバル市場へと進化する、その幕開けの年といってもよいのではないかと思います。
 課題は山積しておりますが、当協会が果たす役割と重要性はますます高まっていくものと認識し、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 本年も、より一層のご指導・ご鞭撻を心からお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。


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