不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

大型店の地域貢献に関する調査結果を受け、6つの提言・方針を発表/日本商工会議所

「コンパクトなまちづくりが地球温暖化対策に」と話す日本商工会議所特別委員会委員長の高橋光壽氏(右)

 日本商工会議所まちづくり特別委員会は19日、「大型店の地域貢献・社会的責任ガイドライン等に関する調査結果」を発表した。

 大型店の地域貢献等については、改正中心市街地活性化法に「事業者の責務」の規定として盛り込まれており、これまで関係業界4団体(日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、(社)日本ショッピングセンター協会、(社)日本フランチャイズチェーン協会)が地域貢献に関する自主ガイドラインを策定している。 

 同調査は、その様な業界や自治体条例のガイドラインの周知状況や効果等について、実態調査を行なったもの。調査対象は全国517商工会議所および商工会議所管内の大型店(1,000平方メートル超、ただし三大都市圏および政令指定都市では3,000平方メートル超)。調査期間は2007年12月5日~25日、回答率は57.4%。

 「業界自主ガイドラインに沿って地域貢献活動をしているか」という設問に対し、「している」と回答したのは78.6%。「していない」は3.2%、「わからない」が18.2%となった。

 また、「市の条例やガイドラインは市内の大型店に周知されていると思うか」という質問では、30.4%が「十分周知されていると思う」、43.5%が「まあ周知されていると思う」としたのに対し、「あまり周知されていないと思う」が21.7%、「周知されていないと思う」が4.3%となった。

 業界自主ガイドラインの役立ち度について、55.6%が「役に立っている」と回答し、27.3%は「役に立っていない」とした。なお、役に立っていない理由として、「(各店舗・店長への)周知が徹底されていない」、「店長レベルに決裁権限がない」などが挙げらている。
 一方、県および市の条例やガイドラインの役立ち度は、「役に立っている」としたのはそれぞれ41.5%、50.0%で、「役に立っていない」としたのは43.4%、35.7%であった。県の条例・ガイドラインが役に立っていない理由としては、「報告義務を課しておらず、貢献度合いを確認する体制づくりがなされていない」「強制力がない」等が、また、市の条例・ガイドラインが役に立っていない理由としては「企業に求める役割が抽象的で、達成目標が明確になっていない」「具体的な貢献内容がわからない」といったことが挙げられている。

 さらに、大型店が撤退した際の行動について、業界自主・県・市それぞれのガイドラインが役に立ったかを問う質問では、「撤退の時点にガイドラインがなかった」がそれぞれ56.8%、75%、84.6%あったものの、「役に立った」という回答はそれぞれ、8.1%、0%、3.8%に留まった。その理由として、「企業の損益のみで撤退を考えている」「問い合わせの電話をしない限り、情報提供がなかった」「早期の情報提供がなく、テナントに対しても直前まで知らされなかった」などが挙げられている。

 これらの調査結果を踏まえ、日本商工会議所では、(1)関係省庁に対し、自主ガイドラインを策定する業界団体を増やすこと、また業界団体に属していない事業者に対する周知徹底を要請する、(2)自主ガイドラインを持つ業界団体の加盟店への周知徹底、(3)大型店へ地域貢献を求める自治体の取組みの拡大、(4)ガイドライン普及のための各店舗への権限移譲、(5)大型店の商工会議所等地域経済団体への全店加入、(6)大型店撤退の際の地域への配慮、等を今後、関係各所へ強く要望していく方針。

 なお、同調査報告の会見の席で、同会議所まちづくり特別委員会委員長の高橋光壽氏は今後のまちづくりについて、「マイカーではなく、公共交通機関を利用することで、低炭素社会が実現できる。そのためにも、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりは重要であり、当会議所としても、集約型の都市構造をめざすことで、地球温暖化対策としたい」と強調した。


最新刊のお知らせ

2025年5月号

「事故物件」、流通の課題は? ご購読はこちら