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消費者への適確な情報提供へ重要事項説明制度の見直しを/流通市場研究会が中間的とりまとめ

 国土交通省は13日、「流通市場研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)検討の「中間的とりまとめ」を発表した。社会情勢の変化、IT技術の普及拡大等により、不動産流通に係る諸制度やインフラの見直し・整備が必要になってきていることから、その中身について学識経験者や不動産流通関係団体による研究会で8回にわたり検討してきたもの。

 とりまとめでは、「より安全安心な不動産取引を求める国民の要請」「ストック重視政策の実現に向けた既存住宅流通市場活性化」のため、(1)媒介業者の役割・責任の明確化と信頼性の向上に向けた方策と(2)消費者に対するより適確な情報提供に向けた方策を検証した。

 (1)では、新築・改修・修繕・点検など過去の履歴や現状に関する情報を売主が整理・保存し、媒介業者の価格査定や買主の判断材料として提供する「告知書」の活用、物件状態を第三者が客観的に検査する建物検査(インスペクション)の普及、これらにより価格査定の根拠を合理化していくことなどが明記された。

 (2)については、年々項目が増え続けている「重要事項説明制度」についての見直しがとりあげられ、消費者保護に十分配慮した上で、書面交付だけで足りる項目を選定、それらについては口頭説明を不要とすべく、対象になる項目は引き続き検討するとした。また、売主から買主へ直接提供すべき情報は「告知書」を活用し、媒介業者の重要事項説明項目から除外する方向で検討する。業者間取引についても必要がないと考えられる重要事項は除外する方向で検討する。 
 また、重要事項説明書の「一定期日前交付」を制度化することで消費者の理解を深め、消費者保護を図ることも打ち出した。さらに、重要事項説明書公布の1つの方法として、「インターネットやメールなどの情報通信手段の活用」を制度上位置付けるべく、詳細を検討するとしている。
 
 今回のとりまとめを受け、同省は最適な制度インフラのあり方についてさらなる検討を行なうほか、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会でも専門的見地からの審議が行なわれる予定。


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