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利用者のインセンティブ高める仕組みが必要/国交省「不動産ID・EDI研究会」が報告書

 国土交通省は9日、「不動産ID・EDI研究会」(座長:浅見泰司東京大学空間情報科学研究センター副センター長)の報告書を公表した。

 国際的に整備が進んでいる不動産分野の情報化、特に不動産情報の電子的交換(EDI=Electronic Data Interchange)については、不動産投資市場の拡大に伴い、その仕組みの整備の必要性が指摘されていた。さらに、不動産EDIの整備で不動産情報の流通・交換を推進するため、不動産を識別するためのID(IDentifier)の必要性も指摘されている。そこで同省は、不動産EDI・不動産IDを中心とした不動産に係る情報基盤整備の現状とあり方を検証することを目的に、2008年1月「不動産ID、EDI研究会」を発足。4回にわたって議論を行なってきたもの。

 報告書では、欧米における不動産ID・EDIの整備の現状と、国内における不動産分野での情報化・電子化の現状について分析。そのうえで、不動産EDIの効用について「情報の原本性の確保、転記ミス等の人為的な誤りの排除による正確性の確保、再確認作業の排除による業務効率の向上、情報項目の共有によるワークフローの円滑化」などを指摘。不動産IDについては「人手を介して結びつけることが一般的な不動産情報について、キー項目として不動産IDを活用することで、人的作業の省力化と判断ミス低減による正確性向上が図られる」とその効用を指摘した。

 そのうえで、不動産EDI・ID普及のための課題として、(1)関係者の集まる検討体制の構築、(2)整備の必要性についての理解の促進、(3)情報の一次利用者(情報源に近いデータ作成者)と二次利用者(作成データを受け取って加工する者)の双方にインセンティブを高める仕組み、(4)不動産EDI・ID導入に伴うイニシャル・ランニングコストの低減と、それを上回るパフォーマンスの発揮、を指摘している。

 なお、行政の役割については、「関係事業者が検討を行なう場の設定、モデル事業の実施などにより、具体的な検討が進むよう側面から支援すること」としている。


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