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住宅への投資が経済活性のカギに/不動産協会がレポート

 (社)不動産協会は15日、「住宅から考える日本の活性化」と題した研究レポートを発表した。

 同レポートは、東京大学大学院経済学研究科教授で総合研究開発機構理事長の伊藤元重氏が中心となってまとめたもの。住宅への投資が、今後、日本経済を持続的に発展していくため必要な「内需の拡大」において、外すことのできないファクターであること、日本の都市・住宅政策が大きな転換点に差し掛かっていることを踏まえ、「住宅」を通じた日本経済活性化の可能性について検証したもの。

 報告書では、高齢者の住宅ミスマッチ、都市の分散・過疎問題、産業構造の変化に対応できない都市の住宅の現状など、戦後の政策を引きずった住宅政策の問題点を指摘。産業構造やライフスタイルに変化に合わせ、住宅を住み替えていく社会制度を確立することが重要だとした。

 そのために、住宅のノンリコースローンの一般化により、住宅という資産を個人の人格から切り離し、金融と融合することで流動化を容易にすることが、国民に多様な住宅取得の手段を提供し、日本経済にもインパクトを与えるものとしている。
 一方、個人の住宅の流動化、証券化のために必要な課題としては、不動産価値の適正な評価、不動産情報データベースの整備と標準化、住宅の耐久性・質の向上・広さの確保、税制による支援などを挙げている。

 同日行なわれた会見の席上、伊藤氏は「住宅政策は、時代を反映して変化していくべき。個人の資産に占める住宅の割合は非常に大きい。かつて、不動産証券化・都市再生が経済に大きなインパクトを与えたのと同様、個人の住宅を流動化させることで経済が活性化するはずだし、新しい都市の姿も見えてくる」などと語った。


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