分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「2008年前半戦 首都圏マンション市場総括と後半戦の展望」と題したレポートを発表した。景気の減速と建築費上昇による価格高騰で、極度の低迷が続くマンション市場下での生き残り策を模索したもの。
08年前半の市場については、供給ボリュームが前年比23.8%縮小の2万1,577戸となった。建築費の大幅上昇に加え、高値づかみの用地により原価が大幅アップしたが、それを販売価格に転嫁できないことから事業収支は大幅に悪化。また、ユーザーも価格の高騰と景気の低迷を背景に様子見に入り、08年前半の契約率は63.9%(前年同期比▲11.3ポイント)となった。
こうしたなかで、後半戦の市場については(1)建物ウエイトの高い郊外部でのファミリーマンションの供給は事実上不可能となり、08年通年での供給戸数は4万7,000戸程度(07年6万1,021戸)となる、(2)首都圏への一極集中は続き、当面住宅に対する潜在需要は旺盛、(3)賃貸居住者や社宅居住者のニーズを吸い上げてきたマンション市場は、ブーム前の「住み分け」の時代(中古・戸建・賃貸)に戻る、(4)売れ行きの決め手となる「立地」のウエイトがさらに強まる、等と分析。そのうえで「ターゲットを絞り込んだ商品企画」「民力に合わせたグロス価格設定」「中古になったときも流通性の高い、基本性能にコストをかけた商品作り」「安いゼネコン(一般管理費の安い、信頼関係のできている会社)を使った建築コスト圧縮」などが重要とした。
また、こうした厳しい環境下でディベロッパーに求められるものとして(1)好立地の鮮度の良い情報を多く入手できる情報収集力と、いかに他社より好条件で仕入れられるかという折衝・交渉力、(2)魅力的な商品開発能力と、設計事務所やゼネコンをコントロールしてパフォーマンスを最大限にする能力、(3)商品の良さをユーザーに伝える販売力と販売会社の販売コントロール力、といった事業の核となる業務を「自力で行える」能力をあげている。