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大震災によるマンション被害額、首都圏全域で1兆2,500万円に/東京カンテイが試算

 (株)東京カンテイは30日、阪神・淡路大震災クラスの地震が首都圏で発生した場合に想定されるマンション被害額の試算を発表した。

 同震災により被災した神戸市内3,096棟のマンションの被害分析から、旧耐震・新耐震それぞれの被害割合を算出。それに基づいて想定される「機能的損失額」(被災したマンションの戸当たり補修費用の積算=大破:900万円、中破:250万円、小破:150万円、軽微:45万円)を試算したもの。

 その結果、東京都での被害額は約6,036万円、神奈川県約3,267万円、千葉県約1,614万円、埼玉県約1,579万円となり、首都圏全域でマンションが被災した場合の損害額は、約1兆2,496万円となった。これは、同震災による神戸市内マンションの被害額の17.2倍に相当する。

 一方、同震災により被災したマンションの資産価値の推移について検証したところ(1)震災後の一時的な住宅不足によるマンション特需で、損傷のなかったマンションは耐震基準に関係なく資産価値が上昇するが、その期間は限定的、(2)被災したマンションの資産価値は必ずしもゼロにはならない、(3)被災状況が軽微であれば、補修により損傷なしマンションと資産価値が同程度となる、(4)被災状況が小破~大破のマンションは、耐震基準により価格推移が大きく異なる、といった特徴があった。

 同社は「旧耐震基準マンションは全国で2万2,695棟、146万1,059戸もあり、被害規模を抑制するためにも、耐震補強について管理組合で協議が必要なほか、国レベルでも早急に対策が講じられるべき」としている。


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