分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2008年のマンション市場を振り返りながら09年市場を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、08年のマンション市場について(1)供給戸数は激減、ただし分譲価格は依然上昇傾向(2)契約率が悪化、(3)インセンティブ販売による値崩れ加速、アウトレットマンションの登場、(4)ディベロッパー、ゼネコンの破たん、などを挙げ、「急激な値崩れによる市場の崩壊、貸し渋りによるマンション販売不振と流動化の失敗によるディベロッパーの破綻など、まさに激変の1年だった」と分析。
これらを踏まえ、09年のマンション市場特性について、(1)価格改定やインセンティブ等により20~25%の価格改定を行なった物件は売行きが良い、つまり04年水準の「旧価格」なら確実に売れる、(2)今年後半には建築費や用地費の値下がりを生かして、前向きの事業への転換を図ることができる、(3)富裕層の落込み等を考えると、億ション系商品、5,000万~6,000万円クラスのハイグレード商品の苦戦は続く、(4)一次取得者向けマンションはまさに生活必需品であり、買い控えは起こらない。ただし、立地と価格は今まで以上に要求される、などと予測した。
また、売行き回復の要素として(1)販売価格の値ごなしによるターゲット予算・購入体力とのマッチング、(2)低水準の住宅ローン金利の継続、(3)住宅ローン減税等の税制面からのフォローを挙げ、商品企画については、実質面を重視するユーザーに対応するため、建物の長寿命化、省エネルギー化、安全性、健康などがテーマとなるとした。
同社は「各社にヒアリングすると、今年前半は販売促進、在庫処分優先、資産圧縮が中心となるが、後半は前向きプロジェクトの仕入れ再開となる。業界の変革のスピードは速く、09年後半からマンション市場は底を打って反転するのでは」と分析している。