(社)全国宅地建物取引業協会連合会は4日、「不動産取引制度に関する研究会」(座長:早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・川口有一郎氏)の、平成20年度中間とりまとめを公表した。
同研究会は、不動産取引における消費者保護と、不動産の流動性向上による市場拡大を図るための不動産取引制度のあり方の検討を目的に、 08年1月発足。20年度は、これらを実現するための不動産取引の基本ルール(不動産取引法)とそのインフラとなる「不動産取引所」の具体化を念頭に、(1)住宅履歴を含む住宅情報の提供のあり方、(2)重要事項説明の手続き合理化、(3)賃貸不動産市場整備のための諸課題の整理および問題提起、について検討した。
とりまとめでは、住宅履歴を含む住宅情報提供の課題として、コスト負担、情報提供に係るインセンティブ、重要事項説明(ミニマム基準)を超えた情報(満足度基準)のあり方などをあげた。また、重要事項説明の合理化については、業者間取引における重説簡素化による取引円滑化を謳っている。
また、賃貸不動産管理業については、契約内容の不透明さに起因する消費者トラブル、サブリース契約のリスク、セーフティネットの構築などの課題を挙げた。
そのほか、不動産取引所の開設により(1)住宅履歴など消費者が必要とする情報とサービスを提供することで、「質の見える化」という新たな付加価値を生み出すことができる、(2)ITを使った不動産のオークション、エスクロー等を提供することで、ビジネスの効率化の基盤になる、(3)「価格の見える化」を通じて、既存住宅市場のマーケット・メイカーとして、不動産の流動化の受け皿インフラとして機能できる、と期待される効果を分析している。
同研究会は、今回のとりまとめで指摘した検討課題について、今年度末までさらに掘り下げた研究を行なっていく。これと併行して、同協会は、「不動産取引所」の実現に向け、全国の宅地建物取引業協会と連携して、モデル事業の募集、実証実験などを進めていく方針。