(財)日本不動産研究所はこのほど、「不動産投資で重視する環境性能」についてのアンケート調査結果を発表した。
同調査は、建物の環境性能に関する判断基準を探るため、不動産投資家170社に対し25項目について重視度を求めたもの。53社が回答、回答率は31%。4月に調査を実施した。
それによると、不動産投資家は、土壌汚染や耐震性など社会的に問題となった環境性能や、収益に直接結びつく環境性能で費用対効果が明確である、適切なメンテナンス、設備更新などを重視していることがわかった。そのほか、周辺とのトラブル防止や事業継続といった社会的信頼を高めるために必要な環境性能も重視している。
一方、省エネルギー・省資源のように、投資に見合う効果を投資家が容易に把握・検証できない環境性能に対する重視度は低かった。
同研究所は、不動産の経済価値は、不動産市場における市場参加者の重視度に左右されるとし、環境に配慮した不動産の経済価値が市場で評価されるためには、省エネルギー・省資源といった重視度が低い環境性能に関する社会的認識や、市場における重視度が高まることが必要である、と分析。併せて、国などがこれらの環境性能を積極的にアピールすることや、税制面での優遇措置など、何らかのインセンティブが必要であることも提言した。