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不動産市場安定化ファンド設立に向けたワーキングチームが発足/国交省

 国土交通省は29日、「第1回不動産市場安定化ファンドの設立・運営に関する検討委員会」を開催した。

 世界的な金融市場の混乱を受けて、JREITの資金繰りやリファイナンスが難航している現状を鑑み、官民合同でファンドを組成・運営。2009年9月以降に山を迎えるJREITの投資法人債の償還リスク等を軽減し、不動産市場の安定化と資産デフレの防止を図ることが同委員会の目的。

 なお、9月以降に本格化するJREITの投資法人債償還へ対応するため、迅速な検討が求められていることから、ファンドの組成に関する実務に精通したメンバーでワーキングチーム(座長候補:原田昌平氏(新日本有限責任監査法人シニアパートナー))を構成し、その検討内容を同委員会で議論する。

 なお、緊急的措置として、ファンドの融資対象は当面、既発投資法人債や既存借入金のリファイナンス資金への充当を優先する。

 また、スキームは、信託銀行等の信託勘定を組織形態として用いつつ、税制上の機関投資家とする必要性があることから、出資者をLPS(出資者合同で組成)とすることで、JREITの導管性を確保。アセットマネジャーはLPSの無限責任社員(GP)を努めることが想定されている。

 通常、ファンドの組成は証券会社等のアレンジャーがアレンジメント業務としてファンドのスキームを構築し、アセットマネジャーを選定した後に出資者等を募集する場合が多いが、同ファンドの組成においては、客観性・合理性を担保するため、同検討会が行なう。
 よって、同ファンドにおけるアレンジメント業務はファンドに対する役務提供者の選定や出資者等の募集に限定され、これらの業務には必要に応じて(社)不動産証券化協会などの業界団体が関係法令の基準を満たしたアレンジャーを選定し、準備を進める方針。

 また、ファンドの資金調達は、シニアローン、メザニンローン、出資の3区分を基本とし、メザニンローンは日本政策投資銀行からの資金調達を検討する。

 今後、7月中旬に第2回検討会を開催、ワーキングチームでの検討状況報告等を行なった後、ワーキングチームでの検討を重ね、7月下旬~8月上旬に第3回委員会でファンド組成・運用ルール等に関する中間とりまとめを公表する予定。
 また、8月下旬~9月上旬に第4回委員会を開催、最終報告書に向け議論を行ない、9月以降に償還を迎える投資法人債等のリファイナンスに備える。

 なお、同施策は、政府与党の経済危機対策に盛り込まれていた。


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