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売却損発生率増加に転じ、74.5%に/FRK・第14回「不動産流通業に関する消費者動向調査」

 (社)不動産流通経営協会(FRK)は24日、第14回(2009年度)「不動産流通業に関する消費者動向調査」を発表した。

 同調査は、居住用不動産取得者の取得行動、種々のサービス等の利用実態・評価を時系列把握することで、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、1991年から隔年、2001年から毎年実施しているもの。
 調査対象は、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で、08年4月1日から09年3月31日の間に購入した住宅の引渡しを受けた世帯。有効回答数は1,123票。

 『住宅購入資金の内訳』は、新築住宅購入者(以下、新築)・既存住宅購入者(以下、既存)とも「前住居の売却金」の平均利用額、利用率が前年度よりも減少。
 回答者全体の購入資金の内訳をみると、調達資金総額に占める借入金の割合が63.4%となっており、うち「銀行等の民間ローン」の割合が54.5%(前年度比5.8ポイント増)と過半数を超えた。利用した民間ローンの金利タイプについては、「変動金利型」が前年度より大幅に増加し58.1%(同29.8ポイント増)に。「固定金利」の割合は39%で、うち固定期間「10年」が48.4%(同6.2ポイント増)となった。
 また、「フラット35」の利用率は新築・既存ともに減少し、新築12.8%(同▲17.2ポイント)、既存20.0%(同▲16.3ポイント)。

 『相続時精算課税制度の利用状況』は、贈与者年齢65才未満では、受贈者年齢が39才以下の割合が95%超となった。なお、贈与金額1,000万円以上の割合は29才以下29.5%、30~34才42.0%、35~39才62.3%と、年齢が上がるにつれ割合は高まっている。
 一方、贈与した親の年齢は「65才未満」が46.9%(同10.0ポイント増)となっており、住宅取得等資金贈与における特例が積極的に利用されている様子がうかがえる、としている。

 『買い換えによる売却損益の発生状況』は、自己所有物件を住み替える際売却した世帯のうち、売却損が発生したのは74.5%(同10.9ポイント増)と、05年から08年度までの減少傾向から一転、増加に転じた。うち「1,000万円以上の損」は42.5%(同4.9ポイント増)、「3,000万円以上の損」は7.2%(同3.7ポイント増)。
 築年別の売却損発生状況は、「10年超~15年以内」が最も多く92.0%、「3,000万円以上の損」の高額な売却損が発生している世帯の割合は、「15年超~20年以内」で最も多く41.2%となった。

 『既存住宅に対する意識』においては、既存住宅購入者が不動産売買に際して受けたいサービスとして「建物診断(ホーム・インスペクション)」(戸建て:46.0%、マンション:42.6%)、「既存住宅性能評価」(戸建て:45.6%、マンション:39.5%)が上位2位を占めており、建物の性能評価に対する関心の高さがわかるとした。


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