分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「2009年前半戦首都圏マンション市場総括及び後半戦の展望」と題したレポートを発表した。景気の減速による住宅取得意欲の低下と、金融収縮の継続による資金難で、極度の低迷が続くマンション市場下での生き残り策を模索したもの。
09年前半の市場については、供給ボリュームが前年比26.0%縮小の1万5,898戸となった。建築費、土地取得費は大幅に下がったものの、金融機関の融資姿勢とユーザーの価格見極めがシビアであることに変化がなく、多くのディベロッパーが完成在庫販売やリノベーション、販売代理業にシフトせざるを得ない状況が継続した。
一方、後半戦の市場については(1)建築費の低下により秋口から事業化を再開する物件も増加するものの、年内は様子見をしたいというディベロッパーが多く、09年通年での供給戸数は3万3,000戸程度(08年4万3,733戸)となる、(2)郊外での着工減、供給減が続き、千葉・埼玉郊外エリアを得意としていた中堅ディベロッパーがフリーズ状態であることから、郊外部のマンション市場が「エアポケット化」する、(3)再建組や異業種参入も含め、資金難を克服したプレーヤーが増加する、(4)価格は20~25%下落し、04年水準の旧価格相場に戻るなどと分析。
そのうえで「郊外部であっても、駅力、住環境、需給バランスが問題なければ事業化が可能」「ゼネコンや商社とのJV等により、資金調達を図ることが中堅ディベロッパーは生き残れる」などと提案した。
また、マンション市場が本格回復するためには、業界の血液である資金が流れる仕組みが必要とし、(1)事業に金を貸すという「プロジェクトファイナンス」の考え方の主張、(2)プロジェクト資金の融資に対する国の保証制度創設、(3)住宅ローン審査のハードル引き下げなどを、国や金融機関に業界あげて求めていくべきとしている。