(株)ニッセイ基礎研究所はこのほど、「投資対象としてのグリーンビルディング(環境配慮型不動産)」と題したレポートを発表した。プロの不動産運用者・投資家がグリーンビルディングへの投資をどのように考えているか、環境性能を評価する指標の現状や課題について整理。投資家にとって望ましい環境性能情報のあり方について提案したもの。
同研究所が投資家対象に行なったアンケートで、環境配慮型オフィスビルとそれ以外のオフィスビルと比較した場合、「投資期待利回りに差がない(他の条件が一緒であれば資産価値は同じ)」との回答が「環境配慮型ビルの方が資産価値が高い」とした回答を大きく上回ったことに触れ、「不動産の省エネ性能や断熱性能の良し悪しが当該物件の収益性や資産価値にどのように影響しているかが明確でない以上、説明責任を負うグリーンビルディングへの投資にいまだ積極的になれない状況が見て取れる」とした。
また、現在、建物の環境性能情報として公開されている「東京都建築物環境計画書制度」や「CASBEE認証」についても、(1)CASBEE認証は、建築主が費用負担して取得する任意制度であり、高い認証を取得したい建築物しか申請していない、(2)東京都建築物環境計画書制度や自治体版CASBEEは環境性能の評価手法が異なり、物件の優劣が比較できない、(3)市場で圧倒的多数を占める既存建築物が対象外である、といった問題点を指摘した。
そのうえで、投資家にとって望ましい環境性能情報として(1)運用実績にもとづく情報であり、既存物件の評価ができること、(2)投資の詳細調査(デュー・デリジェンス)時に、比較的簡便に調査できること、(3)投資家が判断しやすい数値として開示されるか、第三者による認証や格付けが付与されること、(4)用途や地域などが異なる複数の不動産が比較可能な標準化された指標であること、を提案している。