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中古住宅市場の活性化を/業界横断プロジェクト「ハ会」がシンポジウム

シンポジウムの会場には、業界関係者や一般ユーザーなど約300名が詰めかけた。開催中は、ツイッターを通じて、外部からの意見や質問を随時受け付け、議論に反映させた
ディスカッションに参加したメンバー達が、中古住宅流通活性化のための提言をアピール。シンポジウムの模様は、動画サイトを通じて生中継された

 不動産・建築業界に関わるさまざまな業種(リノベーション事業者、建築デザイナー、インスペクション事業者、不動産情報会社など)の若手経営者等による業界横断プロジェクト「ニッポン住宅維新会議」(通称:ハ会、プレゼンター・長島 修さくら事務所代表取締役社長)の第1回シンポジウムが、22日渋谷シダックスホール(東京都渋谷区)で開かれ、業界関係者、一般ユーザー合わせて約300名が参加した。

 「ハ会」は、現在の住宅・不動産業界を取り巻く環境(政策、商慣習、業者のスキルやモラル、ユーザーマインド)に疑問を抱く業界関係者がツイッターなどを通じてつながったプロジェクト。ストック型社会の実現のための課題と解決策について、中古住宅市場、新築住宅市場、賃貸住宅市場、都市づくりの4つの視点から提言するのが目的。

 第1回目は「VIVA!中古」をテーマに、中古住宅流通市場の活性化策をディスカッションした。

 シンポジウムではまず、明海大学教授の斎藤広子氏が講演。同氏は、現在中古住宅流通市場の拡大を阻害している要因として、マーケット情報が少ない、住宅履歴等個々の住宅についての情報量が少ない(開示しない)、取り扱う業者の専門的知識がない、サービス業のような継続性・リピーター育成という考えの欠如などを指摘。「不動産業・住宅関連産業はチャレンジ業。創意と工夫、新たな価値をつくっていくためには、適正なマーケット、適正な情報の生成と開示、差別化・個性化、人材の育成、新たな連携、役割の再編が重要」などと語った。

 続いて、さくら事務所・長島氏、(株)リビタ代表取締役社長・内山博文氏、(株)ブルースタジオ専務取締役・大島芳彦氏、リクルート住宅総研所長・矢部智仁氏など14名が、中古住宅市場に係るさまざまな問題を提起しながらのディスカッションを実施。昨年、大きな話題となった「両手仲介禁止」問題や、質を反映させた中古建物評価のあり方、瑕疵担保責任のあり方などについて、意見を交わした。

 最後に、ディスカッションに参加したパネラーから、「中古という言葉を使わない」、「住宅版“車検制度”の創設」「瑕疵担保責任の買主負担」「建築“再”確認制度の創設」「売主手数料なしの情報サイト構築」「物件囲い込みの罰則強化」など、中古住宅市場を活性化するための提言が挙げられた。


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