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東京都心部賃貸市場予測、1年後「回復」、3年後「現状並み以上」/アトラクターズ・ラボ

 不動産マーケティングのアトラクターズ・ラボ(株)は23日、都心3区(港区、渋谷区、世田谷区)と9区(千代田区、港区、新宿区、文京区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区)の「高額賃貸市場予測調査」を実施。空室率と成約賃料の短期予測(1年後)と中期予測(3年後)を発表した。

 2010年4-6月期までの実績値をもとに過去4年分のトレンドをベースとし、独自に予測モデルを構築。これを将来展開して予測値を算出した。空室率は景気動向に対して9ヵ月のタイムラグをもって変動することから、短期予測は過去の実績値の推移から導き、中期予測は今後の景気シナリオを(1)現状維持、(2)2004年7-9月期以降と同じ景気回復、(3)2008年10-12月期以降と同じ景気悪化、の3パターンを作成し、最も悪い場合と良い場合の幅を確認した。

 結果、短期予測では、都心3区、9区ともに賃貸住宅市況は現状水準で底這いを続けるが、2011年1-3月には回復傾向が顕著となると推測。
 現状、12~13%で前後する空室率が、2011年1-3月には、3区で10.4%、9区で10.9%となり、今後の景気回復が順調に推移すれば、本格回復傾向となることが見込めるとした。また、成約賃料は空室率と逆相関となり、稼動が改善することで賃料も上昇に向かうと予測している。

 中期予測に関しては、3年後(2013年1-3月)に景気が悪化したとしても現状並みの市況と予測した。
 景気が回復した場合には8~9%前後の空室率となり、景気が悪化した場合には12~13%前後の空室率と推測できたため、二番底となるような景気悪化となっても現状並みの市況と判断した。成約賃料も空室率と同様。

 また、景気動向との連動やシナリオは前述のとおりであるが、その理由として需給バランスの悪化収束があると指摘。2010年は新規竣工物件が極端に少なく、供給は絞り込まれている一方で、日本人世帯と外国人人口の動きから需要を確認すると、世帯増加数の減少傾向は鈍化していることから、需要減退には既に歯止めがかかり、今後の需給バランスは悪化収束に向かう条件が揃ったとしている。
 そのため、短期的には2011年1-3月に賃貸住宅市況は本格回復期に入り、長期的に景気変動のシナリオが複数想定された場合でも現状並み以上となると予測した。


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