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「不動産評価の信頼性の向上」「市場規模の拡大」が不動産投資のための課題/ARES調査

 (社)不動産証券化協会(ARES)は6日、第10回「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の集計結果を発表した。

 同調査は、年金および生保・損保・信託銀行・銀行などの機関投資家を対象に資産運用における不動産への投資の実態と課題を把握することを目的に、2001年度から毎年実施しているもので、今回は年金から120件、一般機関投資家から62件の回答を得た。調査期間は10年6月4日~7月9日。

 それによると、実物不動産あるいはいずれかの不動産証券化商品への投資を行なっている投資家の比率は、年金34%(昨年度31%)、一般機関投資家82%(同81%)と、いずれも2年連続の減少から底を打ち、微増に転じた。

 投資対象別にみた期待投資収益率の平均値は、年金の実物不動産、海外リートを除き低下。世界的な金融資本市場の混乱の影響を受けた昨年と比べて、不動産投資に対するリスクプレミアムが低下している状況が見られた。

 投資期間については、年金、一般機関投資家共に概ね長期化している。具体的には、一般機関投資家の「Jリート」「海外リート」については、昨年度あった「1年未満」とする回答がほぼなくなり、「1年未満」と「1~3年未満」の合計が「Jリート」は24%から9%に、「海外リート」は36%から11%減少。短期的なキャピタルゲインの獲得を目的とした投資家の動きが落ち着いたことが推察される。

 不動産投資のための課題は、年金では2年連続で「不動産評価の信頼性の向上」が1位、一般機関投資家では「市場規模の拡大」が昨年度より比率を伸ばして1位となった。


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