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全国平均の下落率、住宅地・商業地ともに縮小/平成22年度基準地価

 国土交通省は22日、平成22年都道府県地価調査(7月1日時点の基準地価)を発表した。

 1年間の地価変動率は、全国平均で住宅地は▲3.4%(前回▲4.0%)、商業地は▲4.6%(同▲5.9%)と下落。各用途・各圏域で約3~5%の下落となり、前回に比べ、全体的に下落率は縮小した。

 三大都市圏は、平均で住宅▲2.9%(前回▲5.6%)、商業地が▲4.2%(同▲8.2%)と、住宅地、商業地ともに下落率が半減した。
 住宅地は、都市部で利便性、選好性が高く潜在的に需要の大きい地域で、マンションや戸建住宅地の値頃感の高まりや税制等の住宅関連施策の効果等から住宅地需要が回復した地域が現われた。商業地は、大都市の一部地域において金融管理の改善もあって、収益用不動産の取得の動きがみられた。

 東京圏の住宅地では、平均で▲3.0%と前回の▲6.5%よりも下落幅が縮小し、上昇、横ばい地点もわずかにみられた。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県はいずれも、平均で2年連続下落となった。
 都区部では、平均で▲3.1%と前回の▲10.6%よりも下落幅は縮小した。特に都心部では、前回2ケタの大きな下落を示した千代田区、中央区、港区、渋谷区等で、値頃感から住宅地需要の回復がみられ下落幅は1ケタに縮小、利便性や選好性が高い中央区、港区では、マンション・戸建ての潜在的需要のある地域で横ばい地点があった。
 都心に近い地域では下落幅が縮小傾向にあり、前回2ケタの大きな下落を示した調布市、国分寺市等では、住宅需要の回復がみられ下落幅は1ケタに縮小した。なお、稲城市では区画整理事業等の進展により横ばい地点もみられた。一方、都心から遠い西多摩地域の町村部では下落幅が拡大した地域もあった。

 東京圏の商業地は、平均で▲4.1%と前回の▲8.9%よりも下落幅が縮小し、上昇、横ばい地点もわずかにみられた。
 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県はいずれも平均で2年連続下落となった。
 都区部は昨年いずれも平均で2ケタの下落となったが、今回は中央区を除き1ケタの下落となった。
 ブランド力の高い「銀座」を有する中央区は、店舗賃料の低水準や空室率の高止まり等により、前回に引き続き2ケタの下落となった。また、千代田区においては、業務高度商業地域における空室率の高止まりに伴うオフィス賃料の低水準や空室率の高止まり等により▲8.7%の下落となった。

 一方、豊島区は、大型店舗の進出により繁華性が増した地域において、前回の2ケタの下落から、今回ほぼ横ばいの地点もみられた。また、中央区の利便性や選好性が高い地域においては、潜在的なマンション素地需要があり、値頃感から横ばい地点がみられた。
 なお、圏域辺縁部では、交通利便性の低い地域や商店街等の集客力が相対的に減退していることを背景に引き続き下落している。

 大阪圏の住宅地では、平均で▲3.6%と前回の▲4.5%よりも下落幅が縮小した。
 大阪市中心6区における地価公示との共通地点の半期ごとの地価動向をみると、ほとんどの地点において後半は下落幅が縮小し、横ばいの地点もあった。
 兵庫県では、神戸市が前回の▲5.1%から▲3.3%と下落幅が縮小し、なかでも東部4区の縮小傾向が顕著となっている。特に東灘区では、前回の▲7.0%から▲2.3%と下落幅が大きく縮小した。

 大阪圏の商業地では、平均で▲5.3%と前回の▲7.1%よりも下落幅は縮小し、上昇、横ばい地点もわずかにみられた。
 大阪市中心6区は、平均で▲10.6%と前回の▲13.3%より下落幅は縮小したものの、引き続き2ケタの下落となった。
 神戸市では前回平均▲8.1%から▲4.1%と下落幅が縮小し、特に中央区では前回の▲12.2%から▲4.4%と下落幅が大きく縮小した。
 京都市中心5区は、平均で▲3.9%と前回の▲6.3%よりも下落幅は縮小した。京都市の中京区、下京区の中心商業地においては、マンション素地需要の高まりや商業機能等の集積により上昇、横ばい地点がみられた。

 地方圏の住宅地は平均で▲3.6%と前回の▲3.4%に引き続き下落したが、上昇、横ばい地点もわずかにみられた。商業地は平均で▲4.8%と前回の▲4.9%に引き続き下落となったが、上昇、横ばい地点もわずかにみられた。


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