(株)住信基礎研究所は28日、「金融危機後のJ-REITのリスク要因変化及び海外REITの実態に関する調査」を発表した。
同調査は(財)トラスト60から受託し実施したもの。
なお、トラスト60は、信託制度の普及と発展をテーマに、国内外の信託制度の調査・研究およびこれらへの助成のほか、出版などの情報発信を行なっている。
同調査では、信用リスクとJREITの関係に着目、サブプライムローン問題後の信用不安によるJREIT市場全体への影響を明らかにしたうえで、個別銘柄の信用リスクの計量化アプローチを提示した。また、金融危機後の海外REIT市場の実態を整理・比較、JREITの課題や市場の安定化、自立的回復のための方策について検討した。
具体的には、信用不安は、投資家行動、資金調達、運用不動産への影響を通じて市場全体に多大な影響を及ぼしており、特に信用不安の影響が受けやすい資金調達においては、スポンサー信用力への依存、脆弱な財務構造、資金調達手段の限定性、など独自の要因も大きいと指摘。
海外との比較を踏まえ、株主割当増資(ライツ・イシュー)や新株予約権付き社債(CB・ワラント債)などの検討のほか、自己株式の取得・償却、種類株式や種類社債の発行、デッドの形態としてノン利コースローンの手段をとるなど資金調達手法が拡充されることにより、運用安定性の向上が期待される、などとした。
さらに、内部留保手段の拡充として、導管性自体の柔軟性を許容する方策として、時限的措置や一定条件の下で現状の90%から引き下げるほか、90%を充足するための期間を半年という決算期間でなく、1~2年間の一定期間で充足するなどの措置が考えられるとしている。
詳細は(財)トラスト60ホームページを参照のこと。