不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

「環境共生住宅」20周年記念しシンポジウム/環境共生住宅推進協議会

シンポジウムには、250名を超える参加者が集まった
パネルディスカッションでは、ICT技術による中小工務店の事業効率化、木材を効率的に使った環境建築など、新時代の環境共生住宅が提案された

 一般社団法人環境共生住宅推進協議会(会長:樋口武男・大和ハウス工業(株)代表取締役会長兼CEO)は9日、住宅金融支援機構すまい・るホール(東京都文京区)で「環境共生住宅20周年記念シンポジウム」を開催。会員会社、関係事業者などから250名を超える参加者を集めた。

 1990年の建設省「環境共生住宅研究会」発足により本格的研究が始まってから20周年の節目を機に、環境共生住宅や今後のまちづくりのあり方について議論することを目的に開催したもの。

 シンポジウムではまず、国土交通省住宅局住宅生産課長の橋本公博氏が、住宅・建築物の省エネルギー対策の方向性について解説。将来的に、新築住宅の省エネルギー基準適合を義務付けるなどの取り組みが必要としたうえで、建物の断熱性に加え建築設備の効率性を向上させること、快適性や健康などのメリットを消費者に伝え、「住まい方」から省エネルギーを追求すること、などと提言した。

 続いて講演した芝浦大学名誉教授の三井所 清典氏は、自然エネルギーを活用する環境共生住宅は地域ごとにその特性や機能を変えていく必要性があるとし、それぞれの地域の住宅設計者・施工会社などを巻き込んだ「低炭素地域型環境共生住宅研究会」を立ち上げるべきと訴えた。

 その後、東京都市大学教授・岩村和夫氏をコーディネーターに、一般社団法人住宅クラウドコンソーシアム専務理事・北上義一氏、首都大学東京大学院教授・小泉雅生氏、(株)日建設計東京設計室長・山梨知彦氏をパネラーに迎え、「2050年に残しておきたい住まい・まち」をテーマにパネルディスカッションを開催。クラウドやBIM(ビルディングインフォメーションモデル=3次元の建物形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量や特性情報をコンピューターで解析して、建物設計および建設の生産性を向上させる仕組み)の活用、木材を効率的・安価に使った環境建築、イニシャルCO2削減に力を入れたLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)発想などを導入した、新時代の環境共生住宅のあり方について議論をたたかわせた。


最新刊のお知らせ

2024年6月号

「特定空家」にしないため… ご購読はこちら