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首都圏コンパクトマンション、ファミリー系より低い成約率/トータルブレインが分析

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、首都圏の「コンパクトマンション」市場を検証したレポートを発表した。

 専有面積30~50平方メートル台のいわゆるコンパクトマンションのうち、2009・10年に首都圏で供給された230物件(23区186件、横浜市17件、川崎市12件、東京都下11件、千葉県・埼玉県5件)について、成約率・販売価格・平均面積等を分析した。

 コンパクトマンション供給のメインステージとなっている東京23区の供給推移をみると、00~04年にかけ順調にシェアを拡大。09年は全マンション供給量の32.6%、10年は25.1%を占めている。一方、00~10年を通した初月成約率を面積帯別でみると、70平方メートル台以上がすべて全体平均(74.2%)を上回っているのに対し、30~50平方メートル台はすべての面積帯で平均値を下回っていた。

 また、都心6区のマンションを、コンパクト系(専有面積30~50平方メートル台)とファミリー系(60平方メートル以上)に分け、00~10年の坪単価の推移をみると、ファミリー系がこの10年間で43%も単価が上昇していたにもかかわらず、コンパクト系はわずか11%しか上昇していなかった。グロス価格も、ファミリー系が6,000万円台から1億1,000万円台へと上昇しているが、コンパクト系は3,000万円台後半から4,000万円台前半と上昇幅は小さかった。

 同社は、この理由について「コンパクトマンションは、ターゲットの購入体力が一定で、購入予算の幅も小さいため、ディベロッパーは価格が上げられない」とし、「単価の上昇を吸収するための手法と思われるが、決して高値挑戦の切り札にはなっていない」としている。

 また、コンパクトマンションの成功のポイントと特性として(1)生活利便性や住環境は二の次で、何よりも交通利便性が重視される(立地のポテンシャル)、(2)ユーザーが出せる予算と求める広さ(エリアごとのニーズ・購入体力にマッチした商品づくり)、(3)シングル・DINKS・女性に訴求する外観・内装(デザイン性・見た目)、(4)賃貸化したときの利回り5%以上、(5)需給バランス、(6)不要不急の商品で地縁性も少ないため、集客したユーザーをどれだけしっかり取り込めるか(総合的な販売力)、などと分析している。


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