不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

千秋商事、芙蓉総合開発との合併に伴う物件取得等で増収/ヒューリック10年12月期決算

 ヒューリック(株)は4日、2010年12月期決算を発表。アナリスト・報道関係者向け説明会を7日に開催した。
 
 当期(10年1月1日~12月31日)の連結売上高は336億1,600万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は152億8,900万円(同6.2%増)、経常利益は123億9,600万円(同13.3%増)、四半期純利益は115億6,200万円(同▲47.5%)。
 竣工物件や企業合併により承継した物件賃料収入が物件の建替えや売却を補い増収となったが、固定資産除去損19億800万円や建替関連損失10億100万円、資産の減損損失70億1,200万円を特別損失として計上。千秋商事(株)および芙蓉総合開発(株)との合併に伴う負ののれん発生益120億2,900万円を特別利益として計上した。なお、前期には多額の固定資産売却益である特別利益が発生していたため、純利益は減益となっている。

 同社は収益の90%以上を賃貸事業が占めており、ポートフォリオは東京23区のオフィスを中心に全国129棟、賃貸可能面積は45万2,474平方メートル。全物件の空室率は1.0%、平均賃料は1万9,933円。11年中には空室率1.0%を切る水準にまで持っていく考え。
 都心5区オフィスビルに限ると、当期平均賃料は2万4,895万円で、11年3月期には「銀座数寄屋橋ビル」の稼動などで、2万7,138万円と、同社の既往ピークの平均賃料を越える見込み。

 現在、同社は3ヵ年の中期計画(10年12月期~12年12月期)の中年度にあたり、同計画では(1)賃貸事業収益の大幅な増強、(2)新しい成長ドライバーの育成・開拓の推進、(3)環境問題に対応した事業経営の推進、(4)経営基盤のさらなる強化を掲げている。

 (1)については、ポートフォリオについて、労働人口の減少など社会構造の変化に対応すべく、今後、オフィスを中心としつつも、賃貸住宅や高齢者住宅、ホテル、商業施設、海外(ベトナム)収益マーケット開拓など、拡充する。オフィス以外のポートフォリオのシェア(賃料収入ベース)を、10年12月の15%から30%程度まで高めていく。
 (2)は、新しい成長ドライバーの育成・開拓として、PPP事業にも積極展開し、すでに起工している2事業のほか、11年度中に3~4件の案件に応募する予定。
 (3)では、引き続きCO2総量25%削減計画を推進するほか、マサチューセッツ工科大学との共同研究である自然採光や自然換気の仕組みを、現在建替え中の大伝馬・第二大伝馬ビル(同社本社としての利用も検討、12年竣工予定)や、PPP事業として進行中の「旧福井中学校跡地活用事業」(台東区、13年竣工予定)などで、具現化していく。
 (4)では、調達資金の長期比率や固定金利比率向上をめざし、11年12月期までに長期借入金比率を当期の87.6%から92%に、固定金利比率72.6%(同)を84%までに高めたい考え。

 なお、中期計画の進捗ペースが早いことから、計画を早めて4ヵ年計画を作り直すことも視野に入れている。来期は、営業収益450億円、営業利益185億円、経常利益150億円、当期純利益80億円を見込んでいる。

 同社代表取締役社長の西浦三郎氏は、「空室率が過去最低、平均賃料が過去最高という賃貸事業の一番美しい形になりつつある。社員1人当たりの経常利益が1億円という、安定した収益を上げられる体制を築くことができた」とコメントした。


最新刊のお知らせ

2025年7月号

定住・関係人口増加で空き家も活用? ご購読はこちら