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東日本大震災の不動産市場への影響、「深刻」が9割超/ニッセイ基礎研究所調査

 (株)ニッセイ基礎研究所は19日、「東日本大震災の不動産市場への影響」と題する緊急アンケート結果を発表した。4月11~18日にかけ、不動産分野の専門家・実務家など1,051人を対象に実施。261人(回収率24.8%)から回答を得た。

 「東日本大震災が、今後、日本の不動産市場(住宅分譲市場、賃貸市場、投資市場)に与える大きさ」について聞いたところ、「やや深刻」、「深刻」、「非常に深刻」との回答が合わせて9割を超え、「それほど深刻ではない」は8.0%にとどまった。

 「日本の不動産市場に与えるマイナスの影響」については、「震災リスクや原発リスクなどから、海外の投資家が日本の不動産を忌避する動き」が58.6%でトップ。以下「経済成長率の低下に伴う、不動産需要の低迷」(51.0%)、「不動産の顧客や利用者、投資家が震災リスクや原発リスクの高い地域や不動産を忌避する動き」(43.7%)と続いた。

 また、「東日本大震災を契機に、顧客や利用者の選別が厳しくなる、あるいはニーズが弱まると思われる不動産タイプ」で最も多かったのは「分譲マンション」(52.1%)。次いで「オフィスビル」(48.7%)、「ホテル」(42.1%)となった。「東日本大震災を契機に、不動産市場でこれまで以上に重視されると思われるリスク」では、「東京一極集中リスク」(56.3%)がトップ。「震災・津波リスク」(50.6%)、「電力不足・停電リスク」(37.5%)と続いた。

 「今後、日本経済が大規模な災害リスクと対峙していくために必要な考え方」については、「建築・都市インフラの防災性能の大幅な強化」(58.2%)、「都市構造の東京一極集中から多極分散化」(41.0%)、「企業活動の国内分散、グローバル化」(37.2%)がトップ3。「エネルギーの原発依存度引き下げ、代替電源開発」は4位(34.5%)に留まり、市場関係者は現在の企業活動や生活に影響を及ぼすようなエネルギー転換までは望んでいないことが伺えた。


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