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国の3研究機関、東日本大震災の被害状況を報告

立ち見の参加者もおり、関心の高さが伺えた報告会会場。主催者によれば募集を開始してわずか1日で定員の500人を超える参加応募があったという

 国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)、(独)土木研究所および(独)建築研究所の3機関は26日、東日本大震災調査報告会を開催した。

 3研究機関は、地震発生直後から緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)として専門家を被災地に派遣。被害状況の調査や分析、完全性の評価、応急復旧への技術的助言などを実施してきた。これまで現地に派遣した専門家は、300人を超える。各種調査はまだ進行中の分野があるため、速報として報告したもの。報告されたのは、地震動や津波の特性、港湾、海岸、河川、インフラ設備、建築物の被害状況など12分野。

 津波の特性については、「岩手県釜石市沖のGPS波浪計では、津波の第1波として6.7mの最大波を観測し、第7波まで顕著な津波として観測された」などと報告された。また、土砂災害については、「全体として発生件数が少なく、必ずしも震度の大きさと対応していない」と指摘。地震動による建物の被害状況は、「地震動被害のみに限れば、1995年に発生した兵庫県南部地震より被害総数が少ない可能性がある」と報告された。

 報告会で挨拶した土木研究所理事長の魚本健人氏は「二度とこうした被害を受けないように、どのようなまちを創っていけばいいのか根本的に考え直さなければならない。今回の大震災の影響には想像ができなかったことも多い。われわれが何をできるのか考えさせられるきっかけとなった。今後も3研究機関が連携し、被災地の復興に向けて取り組んでいきたい」などと語った。


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