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被害の大きい地域は集団移転も。仙台市が「震災復興ビジョン」

 仙台市は5月31日、「仙台市震災復興ビジョン」(以下、「復興ビジョン」)をまとめ、発表した。今後決定される「仙台市震災復興計画」の素案となるもので、同市の復興に対する考え方や方向性を示したもの。

 「復興ビジョン」では、自然の威力に対峙し得る完全な防災には限界があることを認めたうえで、自然の力を受け止めつつ自然と強調する知恵により都市を守る「減災」を基本とすると明記。「新次元の防災・環境都市」を復興コンセプトに据えている。

 計画期間は、2011~15年の5年間。大きな被害を受けた東部地域の復興では、防災施設整備と土地利用の見直しを合わせた総合的な防災対策を図るとし、海岸・河川の堤防や海岸防災林などの防災施設、盛土構造とした公園緑地や幹線道路などの公共施設、高台などの避難施設などを、津波シミュレーションにもとづき効果的に機能を発揮するように配置していく。

 また住宅については、被害の度合いにより集落・住宅地の集団移転、宅地の盛土や避難施設の設置、基盤の再整備などを実施する。丘陵地区等の宅地再建では、仙台市だけでも新潟県中越地震を上回る2,000件以上の宅地被害が発生したことから、既存制度の活用による公共事業で復旧を進めつつ、さらなる制度の拡充を国に要請、早期の再建に向けた支援を行なうとしている。

 なお、今回の震災の経験と教訓を踏まえ、「防災」「省エネルギー・環境」、そしてこれを支える「コミュニティ」「経済活性化」を4つの柱と位置づけ、災害に強い都市基盤の形成、災害対応力の強化、地域・市民の防災力向上など、新しい視点に基づく都市づくりを推進していくとしている。なお、復興ビジョンは、仙台市ホームページで公開している。


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