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大学が不動産の有力な買い手に/信基礎研究所レポート

 (株)住信基礎研究所は、レポート「不動産市場で存在感を高める大学」と題するレポートをまとめた。

 少子高齢化の進展に伴い、大学・大学院等を経営する学校法人(以下、大学)では、急速に経営が悪化。大学経営における収支と収入の関係を示す帰属収支差額比率(売上高経常利益率に相当)は、全国平均で2003年の10.5%から09年の3.7%まで低下(病院経営の要素を含め医歯系大学は除く)している。

 そのため、現状収入の3%程度にとどまる資産運用収入の拡大が課題となっているが、現在、現預金と国内債券が運用資産の大部分を占めており、その運用利回りは1.6%。
 その点、不動産は一定範囲内の収益変動は生じるものの、家賃収入を原資とした比較的高水準なインカムゲインを得ることが期待できること、他資産と比較すると流動性は低いものの、大学の資産運用においては、キャピタルゲインの必要性は小さく、また財務上の理由を除けば短期的に売買を繰り返す必要性も小さいことなどから、大学の資産運用スタイルと不動産の投資特性が合致していると指摘。不動産をポートフォリオに入れることでリスク調整済みリターンを高めることが期待できることから、不動産は大学経営にとって有効な資産運用対象の一つであろう、としている。

 特に施設整備資金(第2号基本金)や資産運用資金(第3号基本金)を積み増しているル大学は、不動産取得の余力があると見ることができ、結果、今後不動産取得の可能性が高く、不動産市場における存在感がよりいっそう高まるものと思われる、と締めくくっている。


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