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市街地価格指数、六大都市の下落幅縮小も東北地方は拡大/JREI調査

 (財)日本不動産研究所(JREI)は30日、2011年3月末現在の「市街地価格指数・全国木造建築費指数」を発表した。毎年3月と9月の2回実施。市街地価格指数は、全国主要223都市・約 2,000地点(定点)の地価を鑑定評価し指数化しているが、今回は東日本大震災の影響を精査するため、発表を約1ヵ月延期。さらに、東北地方の調査地点のうち6%で調査を休止した。木造建築指数は、那覇を除く都道府県庁所在46都市の木造建築費を調査・集計した。

 市街地価格指数は、全国・全用途平均で前期比▲2.1%(前回調査:▲2.1%)と、ほぼ同水準の下落が継続。用途別では、商業地▲2.4%(同:▲2.4%)、住宅地▲1.7%(同:▲1.7%)、工業地▲2.3%(同:▲2.1%)、最高価格地▲2.7%(同:▲2.6%)と同傾向だった。
 「六大都市」(東京区部、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸)は全用途平均で▲1.1%(同:▲1.9%)と縮小。震災の影響で東京・横浜の不動産市場が一時混乱したため、回復基調に水を差され、地価下落基調は継続した。

 また、東北地方全体の地価動向は、商業地は▲5.9%(同:▲4.1%)、住宅地▲3.8%(同:▲2.8%)、工業地▲5.7%(同:▲3.2%)、最高価格地▲7.1%(同:▲4.8%)といずれも下落率が拡大。とくに臨海部の被害が大きかった工業地や観光客減や消費減退の影響を受けた最高価格地や商業地の下落が目立った。さらに、津波被害が甚大だった岩手県宮古市・宮城県石巻市・同塩竈市の3都市平均では、商業地▲9.3%、住宅地▲5.4%、工業地▲7.6%、最高価格地▲12.7%といずれも東北地方平均を上回る下落となっている。

 今後については、景気動向と地価動向の連動性が高い「六大都市」では、外国人を中心とした中長期的な観光客数の減少や、電力不足による実体経済への悪影響等に対する懸念から、商業地・最高価格地では下落幅が拡大すると予想。六大都市を除く都市では、震災による被害が甚大であった都市を除けば不動産市場の混乱はほぼ終息しており、下落幅は縮小方向に向かうと予測している。

 一方、木造建築費指数は、00年3月末を100とすると93.9。10年9月末~11年3月末の半年間で▲0.1%、10年3月末~11年3月末の1年間で▲0.5%となった。


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