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タイでの住宅事業が本格始動、総額80億円を投資/積水化学工業

ディベロッパー分譲地施工例
「早期にタイでの生産・販売を年間1

 積水化学工業(株)住宅カンパニーは12日、タイにおける戸建住宅の量産工場建設に着手した。12年12月に完成させ、13年からタイにおける住宅事業を本格化させる。

 バンコクから北へ約90kmのサラブリ工業団地内に、工場建設地を取得。敷地面積15万平方メートルに、3万2,400平方メートルの工場を建設する。投資額は50億円、生産・販売合弁会社の体制強化および運転資金として30億円を合弁会社の出資比率に応じて投資する。500名の人員を現地採用し、年間生産能力1,000棟を確保する。

 同社は08年、タイにおける住宅事業の検討を開始。09年には、タイ最大のコングロマリットの1つであるSiam Cement Group(サイアム・セメント・グループ)のSCG Building Materials Co.,Ltd.(エスシージー・ビルディング・マテリアルズ)と合弁で、住宅の生産会社SEKISUI-SCG INDUSTRY CO.,LTD.(セキスイ・エスシージー・インダストリィ)と販売会社SCG-SEKISUI SALES CO.,LTD.(エスシージー・セキスイ・セールス)を設立、10年7月には、タイのディベロッパー(Property Perfect社)との協業を開始した。
 これまで施工体制・販売手法・コストなどの検証などのテストマーケティングを行なってきており、その結果を生かし、タイにおける住宅の量産化を狙う。すでに商品の品質・性能面について高い評価を得ており、今後は現場施工の工期短縮、販売価格の見直しを進める。また、水回り設備や収納・建具など内装の工場取り付け、一括請負施工会社などの増強を進め60日施工をめざす。販売価格については、これまで1坪当たり25万~30万円のグレードとしていたが、工場生産化率向上や間取り・仕様を限定することで、より需要の多い1坪当たり20万~22万円の価格帯を検証していく。

 同日会見した同社住宅カンパニープレジデントの高下貞二氏は、日本の住宅市場が小さくなっていくなかで今後“アジアとの共生”が不可欠としたうえで「日本ほどに住宅産業がまだ育っていない東南アジアで、工場生産住宅を普及させていきたい。今般建設する工場をアジアのマザー工業と捉え、早期にタイでの生産・販売を年間1,000棟規模にもっていきたい」などと述べた。なお、14年度計画の1,000棟のうち、ディベロッパーへの販売800棟、注文住宅としての販売200棟を計画している。


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