(株)住信基礎研究所はこのほど、「企業の海外進出が日本のオフィス需要に与える影響」と題したレポートを発表した。
外務省「海外在留邦人数調査統計」によると、海外に設立されている日系企業は、2006年の3万2,500社から09年には5万6,400社へと増加しているが、その一方で、長期滞在者のうち民間企業関係者(本人)は23万5,000人から22万9,000人へと減少。
経済産業省「海外事業活動基本調査」でも、現地法人の従業者数は長期的に増加傾向にある一方で、日本本社企業の従業者数は、04年度を基準とすると現地法人同様に増加していることがわかることから、「現地採用社員による事業が安定したことで、日本からの派遣者を多くは必要としない状況になってきているからではないか」と分析。「企業の海外進出により国内オフィス需要が減少する」という状況は明確には見られない」と指摘している。
その上で、企業の海外進出が国内オフィス需要の減少と単純に捉えられがちであるが、減少させる側面だけでなく、「海外との連携や海外事業好調のため、日本でも採用増」「研修等のために現地採用者を日本に来訪させる機会が増加」などの理由で、オフィス需要を増加させる側面もあることに触れ、「オフィス市場においては、企業の海外進出をネガティブな要因としてのみ捉えるのではなく、国内本社がグローバル企業のヘッドクォーターへと成長する機会と捉え直し、それに支持される都市・オフィスビルへとストックを更新していくことが必要」と結んでいる。
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