(株)ニッセイ基礎研究所は23日、不動産投資レポート「東京都心部のオフィス賃料予測(2011年版)」を発表した。三幸エステート(株)と共同で公表しているオフィスレント・インデックスをもとに、賃貸可能面積と賃貸面積を、新規供給量やオフィスワーカー数、前期までのオフィス賃料やGDP成長率などから求め、東京都心3区(千代田区、中央区、港区)に立地する大規模オフィスビルの賃料予測を行なったもの。
都心3区の大規模オフィスビル(基準階面積200坪以上)の空室率は07年7月の1.3%を底に悪化、10年7月の6.5%をピークに改善傾向にはあるものの、11年7月でも5.6%と依然高い水準にある。また、都心3区のオフィスビルの賃貸可能面積は増加基調にあり、11年6月には540万坪超となった。
さらに同研究所のオフィスワーカー数の将来予測は、10年の133万7,000人から15年の134万1,000人にかけてほぼ横ばいで推移するとみている。
こうしたデータにより、都心3区のオフィス賃料を推計すると、11年は11年第2四半期を底に11年第4四半期まで底ばいが続き、その後上昇に転ずるとの結果が得られた。しかし上昇は力強さに欠け、ボトムからピーク(12年第4四半期)までの上昇率は、標準シナリオで16.7%、楽観シナリオで23.4%、悲観シナリオで10.4%としている。
その後、賃料は再び下落に転じ、ピーク(12年第4四半期)から次のボトム(14年上期)までの下落率は標準シナリオで▲12.6%、楽観シナリオで▲9.1%、悲観シナリオで▲17.9%と予測。その後上昇に転ずるも、その上昇の勢いは弱く、ボトムから次のピーク(16年上期)までの上昇率は8.7%(楽観シナリオで22.5%、悲観シナリオで2.3%)と推計している。