(株)住信基礎研究所は、不動産私募ファンドに関する実態調査の結果を発表した。2011年7月に不動産運用会社140社にアンケートを送付、69社から得た回答をまとめたもの。
11年6月末時点の不動産私募ファンド市場規模(運用資産額ベース)は、推計で15.9兆円と発表。前回調査(10年12月末時点)と比べ、半年間で約1,800億円(1.2%増)の増加となった。保有物件の売却を進め資産規模を減らす動きがあった一方、デット資金調達環境が改善したことを背景に、物件取得を進め運用資産額を拡大している運用会社も見られたことから、全体として微増となった。
2011年1~6月にファンドを組成した運用会社は19社(28%)。新規組成ファンドの本数は31本で、10年7月調査時の54本から大幅に減少している。
「新規ファンドを組成していない」理由について、トップは「エクイティ投資家が集まらない」が27%。次いで「東日本大震災・原発問題が発生したから」が22%となり、東日本大震災が新規ファンドの組成に影響していることが明らかとなった。
今後投資額が増加すると考えられる投資家層については、「海外機関投資家」の42件で、次いで「国内企業年金」「海外年金基金」(各22件)、「国内事業法人」(20件)となった。
物件取得状況については、「検討はしたが、価格目線が売り手と合わなかった」が40%でトップとなったが、11年1月調査の46%よりやや減少している。「取得した」は37%で、同じく11年1月調査の25%からは増加した。
11年の不動産取引の見通しについては、私募ファンドによる取引は「横ばい」が35%、「微増」(28%)に。JREITによる取引は「微増」(32%)、「増加傾向に転じる」(29%)、「増加傾向が継続する」(226%)となり、私募ファンドよりもJREITによる取引活発化が早期に発生するとの見方が多いことがわかった。