26日、大畠章宏国土交通大臣は閣議に22年度の国土交通白書を配布、公表した。
第I部「災害から国民の命と暮らしを守る国土づくり~未曾有の東日本大震災を乗り越えて~」にスペースを割いて、3月11日に発生した東日本大震災について、その被害や影響の分析、具体的対応、復興に向けた課題についてまとめている。
マグニチュード9.0という、わが国観測史上最大、世界でも1900年以降4番目の巨大地震であったこと、さらに福島第一原子力発電所では大津波により全電源が喪失、原子炉の炉心冷却機能が停止するなど、わが国史上最悪の原子力緊急事態をもたらしたことなどから、被害状況の把握は困難を極め、現時点でもその全容は明らかになっていない。
同省では、今般の未曾有津波災害の教訓を踏まえ、従来のハード対策のみでは大津波から守りきれない地域への対策として、地域ごとの特性を鑑み、ハード・ソフトの施策を組み合わせた「多重防御」による「津波防災まちづくり」を推進するための制度の創設を計画。各県や市町村の復興ビジョンに向けた検討の本格化に合わせて、津波に強いまちづくりを推進するための制度的な枠組みを構築していくとしている。
また被災者の生活再建と安定を進めるとともに、新たな発想による復興まちづくりとして、ハード・ソフトの施策を総合した安全・安心なまちづくりを進める一方で、東北地方における産業再生を推進。さらに災害に強い国土構造への再構築として、被災地の復旧・復興のみならず、今後発生すると想定される巨大地震を念頭に置いた取組みを進めていく、としている。
一方、災害に強い国土づくりに向けた課題として、地震・津波のみならず、火山噴火、風水害、雪害などの災害予防、応急対応、復旧・復興の各段階での災害対策を強化してきたが、先般の大震災で露呈した大都市での災害リスク(大量の帰宅困難者、高層マンション・ビルの増加等による高層難民の発生)についても触れ、これらについても、対策を講じる必要があると指摘している。