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札幌のオフィスビル市場、需要弱いものの供給量少なく賃料は上昇へ/ニッセイ基礎研調査

 (株)ニッセイ基礎研究所は13日、札幌オフィス市場の現況と見通しについてのレポートを発表した。1990年代以降、主要都市で最もビル市況が厳しいといわれながら、リーマンショック以降の賃料変動率が他都市と比較して小さい同市のビル市場を概観。オフィス賃料の将来予測を行なったもの。

 同市の賃貸オフィスの賃貸可能面積は07年以降は49万5,000坪で安定。これに対し、需要面積は2010年に43万7,000坪、11年7月には44万坪に増加。空室率の下落をもたらしている。また、11~13年の新規供給は約7,000坪で、1996年~2010年の平均6,000坪よりやや多いものの、他都市に比べると圧倒的に少ない。同市の経済は1990年半ば以降大きなダメージを受けており、この経済状況の悲観からくる過去のオフィス供給の相対的少なさが、同市のオフィス市場が他都市と比べ相対的に悪くない理由となっている。

 また同社の推計では、札幌のオフィス賃料は10年を底に上昇が始まっており、13年まで上昇。2015年にかけ下落すると予測されている。空室率についても、12年までわずかに下落した後、14年まで上昇するという結果となった。

 同社は、「今後も札幌の大規模オフィスビルの新規供給は他の主要都市と比べ多くなく、供給圧力は強くないと考えられる」としながらも「市内の生産年齢人口は今後急速に減少が進むと考えられ、オフィス需要が弱まることが懸念される」とし、中期的な市況の悪化は避けられないと結論付けている。


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