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名古屋のオフィス賃料、12年まで上昇。その後少しずつ下落と予測/ニッセイ基礎研究所調査

 (株)ニッセイ基礎研究所は、名古屋のオフィス市況の概況分析とオフィス賃料の将来予測をした不動産投資レポート「名古屋オフィス市場の現況と見通し」を発表した。

 現在名古屋のオフィス賃料は、主要な地方政令指定都市の中では、大阪を上回りもっとも高い賃料水準となっている。また空室率は1998~2006年まで主要政令指定都市中、もっとも低い水準にあったが、07年以降の新規大規模開発の影響で、6%から14%(10年)へと上昇。現在は福岡市とほぼ同等の高い空室率を示している。

 需給動向をみると、賃貸可能面積(賃貸オフィス供給面積)は05年の80万坪から09年には94万坪と急増。一方、賃貸面積(需要面積)も05年の74万坪から09年には82万坪と増加したものの、供給増加分の55.6%にすぎず、稼働率の大幅な低下と空室面積の大幅な増加が見られた。

 11~12年は、名古屋のオフィス市場では10年ぶりに低い水準の供給になると考えられているが、13年に「ささしまライブ24」のグローバルゲート、15年には「大名古屋ビルヂング」の建替え、および中央郵便局の建替え等が計画されており、大量供給が見込まれる。

 これらを踏まえ、GDP成長率、前期までのオフィス賃料等を基に名古屋オフィス市場の賃料関数を推計、将来のオフィス賃料を予測したところ、10年を底にすでに上昇を始めており、このまま12年まで上昇した後、15年までわずかずつ下落していくと予測。10~12年の上昇率は、標準シナリオで+5.8%(楽観シナリオで8.2%、悲観シナリオで+3.4%)、12~15年の変化率は、標準シナリオで▲4.3%、楽観シナリオで+0.6%、悲観シナリオで▲8.7%であった。

 今後名古屋のオフィス需要は、経済の回復に応じて再び拡大に向かうと考えられるものの、増大する需要も13年や15~16年のオフィスの大量供給を吸収して、賃料を大きく上昇させることは難しいと結論。若年層の人口が大きく減少する中で、産業や経済だけではない都市の魅力を高め、転入者を増加させるとともに、転出者数をいかに減少させられるかが今後の課題になるだろう、と締めくくっている。


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