(社)高層住宅管理業協会は21日理事会を開催し、同日付けの東日本大震災被災状況調査結果を発表した。
同調査は、東北6県+関東1都6県で同協会会員が受託するマンションのうち3万6,629組合・4万6,365棟・232万7,400戸を集計対象としたもので、調査率は80.2%。
建物本体の被害は、大破がなし、中破が44棟(全体の0.09%)、小破は1,184棟(同2.55%)、軽微・損傷なしが4万5,137棟(同97.36%)となった。一部住戸が被災し、一時的に使用不能となった「建物本体一部住戸被害」は11棟で、そのうち液状化が原因とみられる物件が1棟だった。
今回は、要望の多かった「給水設備・エレベーターの被害」についても調査(仙台市・周辺106棟のサンプル調査)。受水槽・高置水槽の被害は、33棟(同31.1%)で発生し、24棟に水槽本体破損・傾きなどが生じた。うち、補修で対処したものが19棟(同79.2%)、加圧給水等システムを変更したものは5棟(同20.8%)だった。エレベーターは、106棟すべてが停止し、復旧は当日復旧が3棟(同2.9%)と、2~3日が大半となった。また、旧・旧耐震基準、旧耐震基準、新耐震基準による建物被害状況を調査したところ、阪神・淡路大震災のように、経年数や耐震基準別の被災傾向がみられなかったことや、壁式構造がその他構造物と比較して被害が小さい傾向にあったことなどが明らかになった。
また、「長期修繕計画モニタリング・簡易耐震診断制度」の経過を報告。1981年以前に建築された旧耐震基準マンションについての調査では、アンケートの回答のあった251社のうち、旧・旧耐震および旧耐震基準の受託マンション数は6,652管理組合となり、同協会会員受託組合数7万9,813組合の8.3%であった。そのうち、簡易診断および精密診断を実施したものは374管理組合(同5.6%)。旧・旧耐震基準マンション729管理組合のうち、簡易診断、精密診断を実施したのは54管理組合(同7.4%)と、未実施の管理組合が多数を占めた。
理事会後会見した同協会理事長の黒住昌昭氏は「耐震診断実施を早急に進めていくため、会員に向けて簡易耐震診断制度の周知および推進を図っていく。本当に危険な建物については建替えが必要だが、多額の費用がかかるため行政のサポートが必要なのではないか」などと語った。