不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

福岡オフィス市場見通し、賃料は11年を底に14年まで上昇と予測/ニッセイ基礎研究所

 (株)ニッセイ基礎研究所は、不動産投資レポート「福岡オフィス市場の現況と見通し」を発表した。

 同社作成の賃料指数によると、福岡のオフィス賃料は、2008年以降大幅に下落しており、11年上期の08年ピーク時からの下落率は▲32.0%と、主要政令指定都市では大阪の▲33.9%に次ぐ高さに。空室率も仙台に次いで高い水準にあり、10年の14%台からやや改善したものの、11年6月現在で13.3%となっている。

 オフィス需給動向については、08年、09年と2万坪を上回る大量供給があったことから、総賃貸可能面積は06年の63万坪から09年には69万坪と、3年間で9.7%の増加に。一方、賃貸面積(需要面積)は1.4%(8,000坪)の増加に過ぎず、空室面積が11万坪に膨れ上がり、稼働率も大幅に低下している。

 一方で、10~13年については、過去にない低水準の供給が考えられていること、オフィスワーカー・セールスワーカー数が01年から06年にかけてわずかに増加したこと、福岡市内の生産年齢人口(15~64歳人口)は札幌市や名古屋市とは異なり増加を続けていることといったプラス要因なども加味し、福岡オフィス市場の供給面積と需要面積をGDP成長率、生産年齢人口、前期までのオフィス賃料、都心3区のオフィス賃料などから求め、それを基に福岡オフィス市場の賃料関数を推計。これに今後の経済見通しや人口予測、オフィスビルの新規供給見通しなどの数値を代入して予測した賃料は、2011年を底に上昇し、14年まで上昇した後、15年にわずかに下落、との予測になった。

 11~14年の上昇率は、標準シナリオで+14.2%(楽観シナリオで+19.0%、悲観シナリオで+9.6%)。空室率は13年まで下落(回復)が続き、その後上昇に転じると予測した。

 なお福岡のオフィス市場が今後の需要縮小を回避しつつさらなる拡大を続けるためには、現在の都市の魅力を伸ばしながら、立地条件の良さ等に伴う潜在的な成長可能性をどれほど実現できるかが課題になる、と結んでいる。


最新刊のお知らせ

2025年5月号

「事故物件」、流通の課題は? ご購読はこちら