NPO法人日本レジデンシャル・セールスプランナーズ(RSP)協会は5日、中央大学駿河台記念館で「不動産実務セミナー」を開催した。
今回のセミナーは、不動産流通の先進国であるアメリカの住宅事情や不動産業におけるマーケットを学ぶことが目的。第1部では、全米リアルター協会(NAR)日本担当のジェイスン渡部氏が「消費者保護の視点から見た米国の不動産流通」というテーマで講演した。同氏は、アメリカの不動産市場は低迷を続けており、物件取引数が増加するも価格が低下するなど厳しい状況にあるとしながらも、「価格変動率の幅が縮小するなど回復の兆しを見せており、一概にはいえないが、12年後半から13年頃には回復傾向になるのではと見込んでいる」(同氏)などと語った。
このほか、アメリカでは売主・買主それぞれがエージェントと交渉し契約を進め、決算や登記については第三者のエスクローが実施しており、「こうした明解な取引精算の形が消費者保護につながっている」と解説した。
また、セミナー前に開催した記者会見で同氏は、「日本の不動産市場は、正確な物件情報公開の強制化や契約書の単純化・統一化などを行なうことで、より消費者保護に重点をおいた市場とすることができるのではないか。アメリカのシステムをサンプルとして活用してほしい」などと語った。