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環境価値が評価される不動産市場へ、「環境不動産懇談会」が初会合/国交省

環境不動産懇談会の様子

 国土交通省は9日、第1回 環境不動産懇談会(座長:野城智也東京大学生産技術研究所所長)を開催した。

 同省は2010年、「環境価値を重視した不動産市場のあり方研究会」を設置。不動産の環境価値の経済分析などを行なってきた。その中で、情報の未整備などの課題が指摘されたことから、各市場参加者が情報交換し、共通認識を醸成する場として、懇談会を設置したもの。

 懇談会では、オフィスビル等の収益用不動産を対象に、環境対応に関する情報の流通・活用や各市場参加者の役割等について検討。不動産の環境価値が適正に認識・評価される市場形成に向けて課題等を明らかにし、提言をまとめる。
 
 初会合では、各委員が検討テーマを提供。環境不動産に関する最近の動向や、オフィスビルの環境対応とビルオーナーの問題意識などについて発表が行なわれた。

 その後のディスカッションでは、「環境対応を判断する指標が世界統一できていないことは金融面ではデメリット」、「日本の環境不動産に関する技術はトップレベルであるにも関わらず、外国に向けてアピールしきれていない」、「都心部の新築ビルなどでは環境意識が高いものの、地方のB~Cクラスビルについては費用対効果に対してシビアな部分もあり、事業者をサポートする制度があってもいいのでは」といった意見が出された。

 会の冒頭で挨拶した同省土地・建設産業局次長の塚本和男氏は「東日本大震災は、不動産市場に安全性や事業継続性、エネルギー資源の有限性という課題を与えた。国内のエネルギー使用量の約30%はオフィスビルが占めており、省エネや環境対応に対する取り組みは喫緊の課題。懇談会を通じて、次世代につながる提案をしていきたい」などと語った。

 懇談会は今後、「投資・金融の視点」や「オーナーとテナントの共同によるマネージメントの視点」といったテーマで順次開催。12年3月までに提言を取りまとめる予定。


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