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震災後の投資マインド改善、東京の求心力強まる/CBRE調査

 シービー・リチャードエリス(株)(CBRE)は21日、一般事業会社および不動産投資家へ実施した「東日本大震災の影響に関するアンケート調査結果(第2回)」の一部を発表した。同調査は、震災直後の4~5月にかけて第1回目を調査しており、そのフォロー調査として10月に実施したもの。

 一般事業会社に、「震災の影響を踏まえ本社ビル選定にあたり重視するポイント」について訊ねたところ、多くの企業が立地選定面では「地盤(液状化リスク)」と「津波・洪水リスク」、建物選定面では「耐震性能」を非常に重視していた。震災直後の前回調査においてもこれらの項目が上位にランクされ、現在でも重視されていること自体に変化はなかったが、重視すると答えた企業の割合は若干低下した。

 また、東京に本社を有する企業の今後の本社戦略については、「東京の本社機能を維持し、立地も東京に留める」という企業が、前回調査比3.8ポイント増加し91.6%に。約8%が「東京の(一部)本社機能のバックアップ機能を他所に求める」と答えたが、「東京の本社機能の分散を進める」とした企業はなく、「東京からの撤退を進める」とした企業も1社となるなど、東京の求心力がさらに強まった。

 不動産投資家に対する投資スタンスに関する設問では、東京のオフィスについて、強気派(「強気」あるいは「やや強気」と回答)の割合が「湾岸部」では前回調査の21%から33%に、「周辺部」では39%から58%に増加した。実際の被害が軽微であったことや、時間の経過によりリスク調査・検討が進んだことなどが投資スタンスに反映されたと分析している。東京のオフィスの流動性や取引価格、投資額などについて、震災直後との対比で2012年3月期の状況をどのように見通すかについても、「改善する」と回答した投資家の割合が全エリア・全項目で、前回調査より大幅に増加した。

 なお、震災の影響の深刻度については、「ほとんど影響はない」と「想定よりも影響は小さい」と回答した割合が67%と全体の3分の2を占め、さらに「想定通り」の回答を加えると94%にのぼることから、当初想定したさまざまな影響がさほど顕在化しなかったものとみている。


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