不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

「耐震特別立法等の制定による耐震化の義務付け」を要望/高層住宅管理協会

「東日本大震災が起こった3月11日より前には、ある程度の形で公表したい」などと語る黒住理事長

 (社)高層住宅管理業協会は24日、第287回理事会を開催。終了後、記者懇談会を開催した。

 理事会では、6月30日と10月27日に開催した「マンション長寿命化協議会」の概要が報告された。「マンションを安心して長期に住まうための新たな仕組・課題の検討を総合的に行なう」ことを主題にハード面、特に3月11日の東日本大震災を契機とした居住者の安全確保のための耐震基準確保に関する施策について討議を行なわれた。

 旧耐震・旧々耐震基準マンションでは多額の耐震改修費用(大規模修繕工事の2~2.5倍)と資金準備がほとんどできていない、といった問題点を指摘。緊急に対応すべき課題として、(1)耐震特別立法等の制定による耐震化の義務付け、融資および税制等各種助成制度、特別措置の策定、(2)「マンション管理標準指針」の耐震性の検討対応項目の内容を改め、旧々耐震基準マンションに限り、「耐震診断及び必要な耐震改修工事実施」を義務付ける、(3)「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」の耐震改修工事の検討を改め、旧々耐震基準マンションに限り、「耐震診断および必要な耐震改修工事実施」を義務付ける、などを提言していく、とした。

 また協議会では、各委員から公的助成の在り方について「戸建住宅に比してマンションの耐震化助成制度実施の自治体が少なく、是正を主張しても良い」、「マンションに特化した助成制度を実施する正当な理由付けが必要であるが、近隣の避難場所として集会室が利用されることや、マンション居住者は自宅待機扱いで避難所の利用ができないなど、地域公共財または準公共財や外部不経済の観点が、その理由付けになる」などと指摘された。

 同協議会では今後、中間報告を兼ねて2012年2月20日にイイノホールでシンポジウムを開催する予定。同協議会理事長の黒住昌昭氏は「学者の先生たちとの議論のうえ、勉強が深まってきた。11年度中に何らかの形で中間報告をまとめたいと考えている」などと語った。


最新刊のお知らせ

2025年5月号

「事故物件」、流通の課題は? ご購読はこちら