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横浜・洋光台団地再生プロジェクト、隈 研吾氏招き第1回アドバイザー会議/UR都市機構

「これまでURで行なってきたさまざまな要素を活かし、総力を挙げて取り組んでいく」と話す小川理事長
会場の様子。同プロジェクトワーキングメンバーや同機構の若手・中堅職員、行政の多世代近居検討会関係者など多くの人が集まった

 (独)都市再生機構(UR都市機構)は6日、まちづくりプロジェクト「URルネッサンス in 洋光台」の第1回アドバイザー会議をヨコハマ創造都市センター(横浜市中区)で開催した。

 同プロジェクトは、昭和40年代建設の団地再生の一環として取り組んできた「ルネッサンス計画」のノウハウや同機構の環境技術やウェルフェアなどを取り入れ、行政や専門家、地域住民などが一体となって行なっていくまちづくりプロジェクト。

 エリア全体のまち並み景観の再生、「新しい公共」によるコミュニティ活性化、太陽光などを活用したエネルギー効率化、エリア活性化のプロデュースなどを盛り込み、団地自体の改修のみならず、まち全体の活性化を目指していく。専門家のアドバイザーとして、建築家の隈 研吾氏のほか、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏、東京大学大学院建築学専攻准教授の大月敏雄氏などが参加。そのほか多分野の有識者も参画していく予定。

 対象となるのは横浜市磯子区の「洋光台北団地」「洋光台中央団地」「洋光台西団地」の3団地。洋光台エリアは、昭和40年代の根岸線の延伸と併せて、日本住宅公団施行の土地区画整理事業により開発され、UR賃貸住宅が住宅戸数の約3分の1を占める。公営住宅を含め約半数が公的賃貸住宅で、入居者の高齢化は進んでいるものの地元住民を中心としたまちづくり活動が活発なことから、同プロジェクトの対象となった。

 会議では、神奈川県による多世代近居の取り組みや大月氏による地域循環居住のあり方の発表のほか、隈氏による基調講演「まちづくりにおける時間と空間」が行なわれた。同氏は、フランス・パリの繁栄が集合住宅を主としたまちづくりにあったことや海外や国内で注目されている共生型の複合施設を紹介。「東日本大震災をきっかけに絆や環境を意識した新たな集合住宅が注目されている。既存の物件を活かすこのプロジェクトは、世界的にも注目されるのでは」と話した。

 会議の冒頭挨拶した同機構理事長の小川忠男氏は「(URルネッサンス in 洋光台は)当機構における新たな取り組み。これまで培ってきたURの総力を結集するだけでなく、アドバイザーや行政、住民の方など外部の方々のご協力も必要となる。同プロジェクトで得られたノウハウは、全国でも展開していきたい」などと述べた。

 なお、アドバイザー会議は、2012年度末までの期間で順次開催していく予定。


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