住友林業(株)と住友林業緑化(株)は14日、東日本大震災の津波被害を受けながら高田松原(岩手県陸前高田市)に残った松の後継樹の育成に成功したと発表した。
両社は、唯一残った「希望の松」と呼ばれている松の後継樹の育成、および樹体の化学分析に関する依頼を(社)日本造園建設業協会岩手県支部から受け、住友林業筑波研究所でクローン増殖、苗の育成に取り組んできた。このたび、接ぎ木により3本のクローン苗を、また種子からは18本の苗を育成することに成功したもの。
住友林業筑波研究所長・梅咲直照氏は会見で「当社はこれまで、京都の醍醐寺や、東京・品川区の清岸寺の桜など、組織培養や挿し木技術で増殖してきた。これまでは広葉樹を手掛けてきたが、今回は新たに針葉樹の分野に取り組んだ」と述べた。また、住友林業緑化執行役員・資材事業部長・石垣裕志氏は「接ぎ木、組織培養、挿し木、種子と4種類の方法に取り組んだ。得意の組織培養では、根ができず、悔しい思いをしたが、陸前高田市の復興に貢献できるよう、今後も取り組みを続けていきたい」と感想を述べた。
同グループでは、今後も挿し木や組織培養による増殖技術の開発を進めていく考え。