(株)富士経済は20日、スマートハウス関連技術・市場の現状と将来展望についての調査レポートを発表した。東日本大震災による電力需給問題を受けて新たな局面に入ったスマートハウスの市場を、国内国外に分けて調査。スマートハウスを構成する関連システム・サービスを「創エネ領域」「蓄エネ領域」「CO2削減領域」「省エネ領域」「通信・計測」の5領域、計22品目に分類。各市場の現状と今後を予測したもの。
11年のスマートハウス関連市場は、世界全体で2兆7,073億円(前年比18.7%増)。国内市場は1兆2,443億円(同16.3%増)で、最も市場規模が大きいのはスマート家電の5,954億円と市場全体の約半分を占め、住宅用太陽光発電システム(3,300億円)、家庭用ヒートポンプ給湯器(1,301億円)が続いた。
海外では再生可能エネルギー導入促進に加え、電力網強化と停電減少を目的とした「スマートグリッド」の導入と、その一環として「スマートハウス」への取り組みが進んでいる。一方、日本は電力インフラが強固で安定しており、スマートハウス化は再生可能エネルギー導入量増大による逆潮流への対応や、CO2排出量削減による地球環境への負荷軽減などを主目的としていたが、東日本大震災による電力需給逼迫や計画停電を受けて、再生可能エネルギーの必要性が再認識され、節電やピークシフトなどのエネルギーマネジメントや、住宅単体で“創エネ”“蓄エネ“省エネ”を実現するスマートハウスへの関心も高まった。
同社は、多種多様な事業者がスマートハウス関連市場へ参入し、家庭用定置型リチウムイオン電池の前倒し投入や、ハウスメーカーやマンションディベロッパもスマートハウス商品を前倒しで販売を開始するなど、「2011年は、国内において本格的にスマートハウス関連市場が立ち上がった“スマートハウス元年”」としている。
また、9年後の20年には、スマートハウス関連市場が世界全体で11兆9,431億円(11年比341.1%増)、国内市場は3兆4,755億円(同179.3%増)まで拡大すると予測。新築戸建住宅を中心にスマートハウス化が進展。電力スマートメーター、スマートタップ、家庭用定置型リチウムイオン電池など、11年時点では普及前の段階にある品目が大幅に成長すると見込んでいる。