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住宅・不動産会社トップ、新年の抱負(2)

 住宅・不動産会社各社トップは、仕事始めにあたり、下記のような年頭所感を述べた。(順不同)

東急不動産(株)代表取締役社長 金指 潔氏
東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏
住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏
東急リバブル(株)代表取締役社長 中島美博氏
東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 倉重喜芳氏
(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏
三菱地所レジデンス(株)取締役社長 八木橋孝男氏


■東急不動産(株)代表取締役社長 金指 潔氏

大震災発生後は、サプライチェーンの寸断、電力不足や原発事故など社会不安の増大に伴い、混乱が懸念されましたが、我が国の持つ現場力など底力で、復旧・復興に向け、着実な一歩を踏み出そうとしています。しかしながら年央において、欧州の政府債務危機や円高・株安など、経済の先行き不安は高まり、震災で落ち込んだ消費意欲の回復の動きも停滞し、依然として予断を許さない状況が継続しています。

大震災により、我々はこれまで経験したことがないような厳しい時代を迎え、待ったなしの変革が求められています。当社は、昨年11月に中期経営計画を公表しました。これは、将来のあるべき姿の実現に向け、足元をしっかりと固める基盤整備としての位置付けです。この閉塞感漂う時代を生き抜くためには、世の中のニーズに敏感に対応し、意識を変え、やり方を変え、改革を押し進めていかなければなりません。

当社は、事業を通じて社会課題の解決を果たすため、変化を恐れず、新たな価値創造を起こし、お客様の目線で、成長から成熟へのステージへと挑戦し続けてまいりたいと考えています。


■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏

わが国経済は、東日本大震災による甚大な被害や原発事故による電力供給の逼迫、円高、株安、財政・税制問題などに加え、欧州での財政危機等、内外の大きな困難に直面し、不透明感が増しつつある。当社を取り巻く事業環境も厳しく、昨年度の業績は大幅な赤字を計上せざるを得ない見込みである。

当社にとって今年は復活に向けた再出発の年と位置付け、2 月に発表する新グループ中期経営計画に沿い、会社一丸となってこの難局を乗り越えていく必要がある。今期については、収益力の向上と徹底したリストラによる黒字化を図り、株主、顧客、金融機関、取引先等すべてのステークホルダーから早期に信頼を回復しなければならない。

そのためには、パラダイム・シフトにより、新たな価値観・発想で事業に取り組んでいかねばならない。業務目標を「部分最適」から「全体最適」に変え、当社グループ全体で新たな価値を創造し続けることが重要である。

当社は、これまでも幾多の困難を乗り越えてきた。役職員一人ひとりがいま一度あらゆる可能性に取り組み、今回の試練を乗り越えていく所存である。


■住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏

昨年は、東日本大震災に始まり、原発事故、円高・株安の進行など大変厳しい1年でした。不動産流通市場におきましては、上期は当初見込んだほど震災の影響を受けずに推移しましたが、下期に入ってからは海外経済の低迷に伴う購入者マインドの冷え込みなどにより減速感が見られました。

今年も我々を取り巻く経済環境につきましては、順風満帆というわけではありませんが、一次取得層を中心に住宅需要に対するニーズは根強いものがあります。価格の値ごろ感、低金利に加え、税制優遇等による需要のさらなる喚起を期待したいと思います。

当社においては、本年は「第3次中期経営計画」の最終年を迎えるわけですが、目標達成に向け、積極的な拡大策を展開していきます。この1~3月は、中期経営計画の進捗を進めるための重要な四半期となりますが、今期を少しでも上乗せ出来るよう最善を尽くしてくだざい。向かい風が吹く中でも、皆さん一人ひとりが一旦決めた目標について責任を持ち、本日より気持ちを新たにして頑張っていただきたいと思います。


■東急リバブル(株)代表取締役社長 中島美博氏
        
本年の日本経済の見通しは、東日本大震災からの復興需要が下支えとなり、実質GDP成長率でプラス2%程度の伸びが予測されている。中でも住宅・建設投資の分野は、政府の予算でも比較的高い数字が計上され、他の分野よりも高い成長率が期待されている。中長期的な観点においても、不動産流通市場は政府の新成長戦略において、市場規模を倍増させるとの目標が掲げられており、加えて、来年度の税制改正でも比較的手厚い対策がなされるなど、世界不況や円高、あるいは少子高齢化や人口減少などによる市場縮小の中でも、成長が期待されている分野となっている。

こうした状況の中、当社は、平成23年度に新たな中期経営計画をスタートさせた。成長戦略への転換を基本方針とし、平成25年度に営業収益620億円、経常利益65億円の達成を目指す「攻め」の戦略となっている。本中計の2年目となる本年は、成長のための源泉確保としてのコスト構造改革、事業の主役である現場の社員が働きやすい環境・仕組みづくり等に力を入れていく。
 
あわせて、情報やノウハウの共有化および基本業務の徹底による「短期的予算の達成」、常に問題意識を持ち新しいニーズを先取りするような「仕事の進化」、そうした仕事のやり方を実践していける「人材の育成」の3点について、管理職が先頭に立った現場での積極的な取り組みを期待し、本社としてもこれらを全力で支援していく。

当然のこととして、コンプライアンスにもしっかり取り組んでいく。法令遵守はもちろん、お客様の期待を超える対応をし続けていくことをコンプライアンスの原点と捉え、今まで以上に取り組みを強化していく。

平成24年、東急リバブルは創立40周年を迎える。本年はまた、新たな成長戦略である中期経営計画がスタートした年度でもある。新しい東急リバブルの成長元年の年となるよう、目標達成に向けた強い気持ちと、改革の意志を持って、新しい年に挑んで欲しい。


■東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 倉重喜芳氏                         

1月1日付で大幅な機構改革を実施し、「ソリューション営業本部」を新設した。芙蓉グループを中心とした大企業に対し、不動産に関わるあらゆるニーズに対するソリューションを、東京建物グループ全体の窓口となって提供し、グループの収益機会を創出することがその主眼である。

「ソリューション営業本部」は、社長が本部長となり営業の第一線を支えるので、社員一丸となって東京建物グループのCRE事業を進展させるべく、最大限の努力をしてほしい。


■(株)株式会社アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏

昨年は1000年に一度といわれる東日本大震災が発生し、従業員の人命、お客様、ジャーブネット会員やお取引先様など、「仲間」の大切さを改めて感じる年となりました。企業として売上・利益を目標とすることは当然ですが、アキュラホームとしてどうあるべきかを考え、社会の一員として行動できたことは、大変意義のあることだと思います。

昨年の抱負に「七走一坐(しちそういちざ)」を掲げましたが、昨年は東日本大震災だけでなく、世界各地での震災、タイの大洪水、ヨーロッパ諸国の経済不安など、世界経済・日本経済ともに先の見えない不安定な年となりました。世の中全体としても一度足を止めて様々なことを考えるべき年となったのではないでしょうか。当社においては、2005年より拠点を埼玉県から全国展開へと拡大し、7年間懸命に走ってきましたが、ここで一度「七走一坐」のごとく座って、ものづくりの「匠」として何が必要なのかを改めて考えたいと思います。

今年の干支である「辰」は“昇り龍”のように成長する年といわれています。当社は「日本の住まいを安くする」というミッションへの志を新たに、「品質、価格、サービスのすべてにおいて日本一の住まいづくりを目指す」というビジョン実現に向け、社員一丸となって邁進してまいります。そうした意味でも今年は大変重要な年となると思います。

私の好きな言葉に坂本龍馬が詠んだ「丸くとも 一かどあれや 人心 あまりまろきは ころびやすきぞ」というのがあります。何かを成し遂げるときには一角突き出て、人とぶつかっても自分の意思を貫き通す強き面が必要であるという意味があり、角を持つことによって人は成長し生きがいを感じる仕事ができるのだと思います。

今年は当社中期三ヵ年計画の最後の年となります。今期も増収増益を見込んでおりますが、今期テーマ「絆を育み謹厳実直」に愚直に取り組み、お客様の幸せを育む住まいづくり、そして2代3代と住み継いでいただくため、地域密着ホームビルダーとしてのきめ細かな“家守り活動”を継続しておこなってまいります。

■三菱地所レジデンス(株)取締役社長 八木橋孝男氏

2011年は国内外で様々なことがあり、おそらく後世の人々は大きな転換点として特筆すべき一年であったと記憶し続けるだろう。そうした年に発足した当社にとり、東日本大震災は影響が大きく、計画見直しや節電対策を余儀なくされたが、マンションの災害対策の基準強化などの即時対応をとり、一定程度の実績をあげた。2012年は中期経営計画達成に向け、まずは今年度掲げた目標を必ず達成して欲しい。

12年の税制大綱は住宅取得に伴う贈与税の特例、あるいは事業用資産の
買い替え特例といった良好な住宅資産のストック形成に係る税制がほぼ業界の要望通り認められ、今年も住宅業界が不動産業界の牽引役として大きな役割を果たすことが期待されている。厳しい環境下、今年度掲げた目標や中期経営計画達成を達成するためにも、

(1)「As One Team」
チーム一丸となって、様々な模索、創意工夫、ありとあらゆる努力を
傾注し、持てる資源を充分に活用する。
(2)「コミュニケーション」
十分なコミュニケーションのもと、社員が共通の価値を醸成する。
(3)「PDCA」
日々の業務のあり方に思いを致し、PDCAを回し続ける姿勢を持つ。

ということにより、業界No.1を目指していただきたい。

2012年は、新社発足2年目となり、当社の成長はグループ内、及び社外からも注目される一年となる。コンプライアンスはもちろんのこと、当社のブランド「ザ・パークハウス」の一層の進展、海外事業のための第一
歩の着手、日々の業務の徹底的な業務効率化により、昇り竜のように成長し続けるための確かな礎を築く一年として欲しい。

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 このほかの住宅・不動産会社トップのコメントは1月5日のニュースをご覧ください。


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