シービーアールイー(株)は1月31日、レポート「グローバル物流市場の最新動向と投資家から見た東京市場の今」を発表した。
同レポートは、CBREグローバルリサーチが2011年12月に発表した、最新の「Global Industrial Marketview」で取り上げられた国際的な物流施設市場の動向と東京の現状とを対比しながら、グローバル市場における東京の位置付けと投資家の動きについて考察したもの。
これによると、世界の物流市場は東日本大震災の影響により生じたグローバルなサプライチェーンの混乱から、11年後半にはおおむね正常な状態に持ち直していることが分かった。また、現在の欧州問題等のマクロ経済のリスク要因が見られるものの、アジアを中心とした需要は堅調に推移しているという。
また、世界金融危機以来、大型の開発案件が世界的に極端に減少。好立地の優良物流施設を求める事業者や流通小売企業のニーズに見合った物件がアジアパシフィック等、各地で品薄状態となっていることから、グローバル物流施設賃料インデックスは11年に上昇に転じ、現在は金融危機前の06年のレベルまで回復している。
東京の物流施設市場は、震災を契機にサプライチェーン・マネジメント(SCM)の見直しや危機管理体制の強化に向けた高機能物流施設の潜在需要が顕在化。限られた募集に対し複数の引き合いが見られる等、品薄感が強まっている。震災前後を通じて東京の優良物流施設賃料は、世界トップランクの高水準を維持しており、震災後も安定的に推移している。
同社では今後の見通しについて、「賃料インデックスはアジアパシフィックの旺盛な需要にけん引され、12年も引き続き上昇圧力が掛かるものと予想されるが、欧米の物流賃料が下降サイクルから回復するにはある程度の時間を要する」としている。