(社)高層住宅管理業協会は20日、イイノホール カンファレンスセンター(東京都千代田区)で「マンションの耐震促進に関するシンポジウム」を開催。「マンション長寿命化協議会」(座長:齊藤広子明海大学不動産学部教授)による「マンションの耐震化の促進に関する緊急提言」が発表された。
同提言は、2011年6月発足した同協議会が、東日本大震災の教訓を踏まえ、マンション耐震化の促進について議論を重ねてきたもの。区分所有者および管理組合に対しては「経費、手間等の数々の問題から先送りすることのないよう、耐震化の早期実現に注力する」、マンション管理業者に対しては「善管注意義務の遵守にとどまらず、マンションが地域から期待される新たな役割および管理業者に求められる安全認識を踏まえ、マンション耐震化に向けて適切な助言ができる体制および技術者の育成」等が提言された。
同協会理事長の黒住昌昭氏は、「震災後、特に緊急性の高まっているマンションの耐震化と耐震性の向上について議論していただいた。震災後1年以内に提言を発表したいという、協議会の強い意向で『マンションの耐震化の促進に関する緊急提言』を発表できた」などと語った。
今回のシンポジウムでは、同協議会委員の4人による基調講演やパネルディスカッションを実施した。
基調講演では、東京大学教授/東京大学空間情報科学研究センター長の浅見泰司氏のよる「マンションの耐震化促進の重要性」や明治学院大学法科大学院教授・戎 正晴氏による「法律的観点から、耐震化を含めたマンションの維持管理に関する区分所有者の責務について」などが行なわれ、その後、齊藤氏を座長に委員9名によるパネルディスカッションを実施。耐震化について、建築面からの視点や法的な課題、合意形成の難しさ等についての議論が交わされた。