千葉大学は、2012年9月14~20日にスペインのマドリードで開催される「ソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012」の参加を前に、大学構内に出展住宅の試作棟を建設。その完成を受け、記者会見を行なった。
「ソーラー・デカスロン」とは、太陽光の力のみで快適な次世代住宅の建築設計を行なう、世界規模の学生建築コンペ。2人家族の生活に必要なエネルギーのすべてを太陽光でまかなう住宅を展示する国際大会で、省エネ性のほか、デザイン、サステナビリティ、市場性、コミュニケーションなど、10項目(デカスロン)を国際審査団が審査、グランプリを決定する。
第1回大会は02年にアメリカで開催され、今回が7回目。
今大会は47大学・33チームの中、千葉大学を含む20チームが予選を突破、スペイン大会に挑む。なお、同大会への参加は日本初。
出展する住宅は、エネルギーと食の地産地消を考え、そしておもてなしの思想を随所に生かした「おもてなしハウス(Omotenashi House)」。積水ハウス(株)のグリーンファーストモデルの「ビーサイエ」をベースに、(株)カネカの瓦屋根一体型のソーラーパネルを搭載した次世代ソーラー住宅で、建設は学生が行なう。同大学予防医学センターが産学協同で開発を進めたケミレスタウン・プロジェクトの研究を踏まえ、健康影響を未然に防ぐための居住環境や住まい方も提案する。
また、同大学園芸学部で研究が進められている植物向上の技術を応用、家庭内で野菜を効率的に育てる小型植物工場を住宅内に設置するほか、ハウス前庭には家族が半年間自給できる米が収穫できる水田、壁面には作物を育てる壁面緑化などを設置、自給に向けての新しい提案を行なう。
また日本の伝統である縁側を周囲に設置し、生活時間を豊かにする「出会いの場」としてデザインし、障子やふすま、移動式の畳によって、軒下と室内とをゆるやかにつなげ、さまざまな生活環境に対応しつつ、おもてなしを行なう。
本プロジェクトの学生代表である田島翔太氏は「参加にむけて動き出してから約1年。これまで多くの方々・企業等のお力添えにより、試作棟完成を迎えることができた。大会では10日間で建物を建設するなどの規定があるなど、まだいくつかの課題があるが、それらを克服してグランプリ獲得を実現させたい」と語った。
なお本プロジェクトは産官学協働で進められており、国土交通省、千葉市、柏市などが後援、前述企業のほか、三井不動産(株)、(株)LIXIL、その他約50の企業・団体・個人の強力のもとで進行している。